「一方通行型」から「循環型」へ!

洗浄廃液を出さないための、「出張受託加工サービス」について。

潟[オテック 
井上 雅仁

 製造業において、環境経営を考えていくことは、21世紀を生き残るための重要な経営戦略になるともいわれており、工場からの廃棄物の排出をなくす「ゼロエミッション」が課題とされています。

産業洗浄に用いられる水系洗浄液は、洗浄に伴い混入する夾雑物、油分等の混入により産業廃棄物として排出されるのが一般的でありこれら洗浄廃液を含め、近年の統計では全国で約260万トンのアルカリ系廃液が焼却処分されています。

折から平成14年12月から「ダイオキシン規制法」がさらに強化され、各種廃液の焼却処分はますます困難な方向へ向かいつつあります。また、昨年夏には界面活性剤に用いられている「ノニルフェノール」の環境ホルモンとしての疑い、さらには本年6月には、同じく「オクチルフェノール」が環境ホルモンとして働き、メダカの産卵数を低下させたり雌化させる作用があることが、2例目として確認されています。

 このような中、当社は「クラレ」製の中空糸膜と当社の有する「荷電凝集法」との組み合わせにより、これら機械加工現場でご使用になる各種アルカリ系液体のリサイクル装置として上市し、各企業の廃液発生の抑制のお役に立ってきております。

しかしながら、長期に亘る出口の見えない平成不況下にあり、地球規模の環境保全のうねりを背景にしながらも、各企業におかれましては環境保全装置としての設備投資がなかなかできないのが悲しいかな現実であります。

 「ゼオテックモバイルリサイクリングサービス」はこれら「廃液の発生は抑制したい、しかし現状では設備投資が困難である」という企業に「荷電膜式リサイクル装置+ユーティリティー」を車載した特装車が、企業の要請により現場まで訪問し、夾雑物、油分を99.9%以上の精度で除去し再利用していただくサービスです。

 タンクを所有されている企業は、そのタンクに同一種類の汚染された洗浄液を溜めていただき、一杯になると特装車が赴き、清浄化作業を行い、濃度調整の上再利用いただくシステムです。また、予備タンクをお持ちで無い企業にはリースタンクをお貸しすることも可能です。このシステムはあくまで同一液種を処理いたしますので、多種混合した廃液の清浄化はできません。洗浄液はじめ、その他加工アルカリ系液も「分ければ資源、混ぜれば産業廃棄物」となります。今後これら液体も分別回収再利用という大きな流れになると思われます。

 最後にサービスの価格ですが、現状の引き取り費用、清掃費用等工賃、新液購入費用、焼却費用等加算した固定費以内での価格設定をしております。従いまして、環境対策と製造コストの低減という、二兎を追うことのできるサービスとして、各社よりご評価いただいております。

 尚、このサービスは現在中部地区より開始いたしており、順次全国に展開していく予定です。

(これは、「第15回洗浄技術セミナー(平成14年6月21日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)

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