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産業洗浄をとりまく環境課題(要旨)

潟_イヤリサーチマーテック

竹下 宗一

(1)代替洗浄剤への転換

わが国では、かつて洗浄剤として汎用的に用いられたCFC-113は、オゾン層保護に関するモトリオール議定書コペンハーゲン改定にもとづき他のCFC、四塩化炭素、トリクロロエタン、HBFCと共に1995年末までに製造が中止され、塩素系、炭化水素系、水系、準水系などの洗浄剤や無洗浄への転換が終わっている。

工業洗浄剤の販売量合計は年間14万トンであるが、フッ素系(HCFC-225、 HFC 、HCFC-141b他)の販売量は3千トン程度であり、洗浄剤としてHFC、PFCに移行した割合は小さい。

わが国は、各業界が地球温暖化対策を目的として1998年から作成している自主行動計画により、毎年、用途毎の排出削減に取り組んでいる。洗浄剤としてのHCFC-141bは2000年以降段階的に生産・輸入枠を削減し2010年までには全廃、HCFC-225は2010年以降漸次削減が開始され、2020年までに全廃する。但し、発泡剤用HCFC141bの生産許可・輸入割当は2003年末を期限とし2004年で全廃する。

代替洗浄剤は、洗浄性能、環境特性などにより用途毎に使い分けられている。

- 塩素系や芳香族系は炭化水素系に比べて速乾性で洗浄力が強いが、人体毒性があるので職場の環境管理や施設からの排出管理を十分行う必要がある。

- 炭化水素系は毒性が少なく乾燥が早いが、可燃性であるため、設備面での対策(投資)が必要となる。そのため、資金力の乏しい企業は、従来の設備が転用可能な塩素系洗浄剤を選択した様だ。

- 水系や準水系は、不燃性であるが乾燥が遅いので、速乾不要な用途を選ぶ必要がある。

洗浄剤の最適化に加えて洗浄方法も工夫され、超音波、シャワー、液中噴流など様々な洗浄装置が開発されている。環境規制を満たしながら、洗浄性能や利用機能(特に乾燥蒸発工程におけるエネルギー効率や安全性)を損なわない新規洗浄剤や洗浄技術の開発が、現在も継続されており、市場に順次導入されつつある。

(2)漏洩防止と排出抑制・回収

洗浄剤の漏洩・排出抑制と回収を行うことで環境負荷抑制だけでなく、洗浄剤の回収再使用が可能となる。

- 洗浄設備の密閉化や排出蒸気を活性炭等により吸着回収する装置の設置が進んでいる。また、回収する洗浄剤の純度を維持するために深冷凝縮法などが開発されている。

- HCFCあるいは臭素系の使用済み洗浄剤の場合、メーカーによる引き取り回収も行われている。炭化水素系洗浄剤においては、ユーザーサイドで蒸留設備を設置し、回収再使用される例が多い。

なお、塩素系洗浄剤のPRTR排出量報告値(平成13年度把握、15年公表)は、業界が調査した開放系の消費量(平成12年)より大きい結果となっている。

(単位:

万トン/年)

塩化メチレン

トリクロロエチレン

テトラクロロエチレン

PRTR届出・届出外排出量推計

8.38

5.88

3.80

業界による推定消費量(開放系)

5.9

3.2

1.4

(これは、「第8回洗浄技術フォーラム(平成15年9月11日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)


フッソ系溶剤洗浄装置

新オオツカ株式会社

寺内育朗

要約

洗浄テスト確認前準備として、洗浄槽設置槽数を何槽にすればよいか見極める為に、残留油分シミュレーションを行ないます。本稿ではCO−SOLVENTシステムを例に説明します。

より少ないエネルギーで、少ない油分濃度を維持して再付着防止する事を目的とします。

CO−SOLVENTシステム(環境対応洗浄装置)

  1. 炭化水素で洗浄、フッソ系溶剤ですすぎ、蒸気洗浄、乾燥を行ないます。
  2. フッソ系溶剤の沸点は水に対して低い為、製品に与える影響を抑える事ができます。
  3. 分離再生ユニットにて混合した溶剤を、フッソ系溶剤と炭化水素に分離して各槽に戻します。
  4. 廃液の排出は、被洗浄物に付着していた油分と僅かな炭化水素だけです。
  5. 熱風、エアーブロー(コンプレッサー)等の大エネルギーが不用、環境にやさしい洗浄システムです。

炭化水素槽での残留油分シミュレーション結果

被洗浄物への再付着を少なくするには、2槽式よりも3槽式がより効率的である。2槽式の場合蒸溜再生量を3倍にしても、3槽式より槽内の残留油分濃度は多い。

フッソ系溶剤について

フッソ系溶剤の物性値(環境関連)で、ODPは最近のフッソ系溶剤は0である。GWPについても改善され初期のフッソ系溶剤より低くなっている。また比重は水より1.5倍程重く、比熱は約1/4、表面張力に於いては1/5程度である。

フッソ系溶剤一槽での残留油分シミュレーション結果

蒸溜再生溶剤性能 @ 再生精度:0.5wt%

ヒーター容量:6KW

A 再生精度を0.05wt%

ヒータ−容量を12kw

ある仮定条件に於いて@の場合フッソ系溶剤中の、すすぎ槽100Lに存在する残留油分は1.5gとなる。仮定条件を同じとして、Aの条件にすると残留油分は0.675gとなる。

このことからフッソ系溶剤ですすぐ方式は、以下のことから精密洗浄に適している。

  1. 浸漬によるすすぎ効果と、蒸気洗浄によるすすぎ効果にて静浄度の向上が期待できる。
  2. 炭化水素は瞬間的に除去されシミ発生が極めて起こりにくい。

まとめ

一度持ち込んだ油分は閉ループ(排気ゼロ)では完全0は困難である、しかしCO−SOLVENTシステムでは限りなく0に近づける事が可能となる。蒸溜再生量を増加、蒸溜再生精度の向上(現在0.5wt%の1/10以下が可能)等を行ない、大量の熱容量に頼らない環境にやさしい精密洗浄システムを今後も開発していきたいと考えている。

参考文献

寺内育朗 トライボロジ7月号 2002.7 (有)新樹社

寺内育朗 第8回 JCC洗浄技術フオーラム2003講演集

(これは、「第8回洗浄技術フォーラム(平成15年9月11日開催)」より、講師のご好意で作成頂きました“要旨”です。)

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