「産業洗浄」で使用している各種洗浄剤の特徴
(2002年3月)
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長所短所および短所を補う対策の説明です。
洗浄の用語集やデータベースの基礎としてご利用いただけます。
洗浄剤 長所 短所  短所を補うための対策
温水・純水 1.不燃性
2.毒性がない。
3.オゾン層破壊物質がない。
4.ほとんどの樹脂を膨潤溶解しない。
5.汚れ油の水分離性が良い。
6.スプレーしても発泡しない。
7.洗浄コストが低い。
1.洗浄力がない。
2.金属に対する防錆対策が必要。
3.純水を使う場合純水製造装置が必要(ランニングコストがかかる)。
4.その他水系洗浄剤と同じ。
1.高圧スプレー、シャワー、超音波、液中噴流、揺動を併用する。
2.防錆剤槽をリンス後に設置。リンス、乾燥時間の短縮。
3.水系洗浄剤と同じ。
機能水 1.常温で使用可能
2.環境保全が可能
3.危険な薬剤の使用が不要。
1.有機物汚れに対する洗浄性が弱い。
2.設備投資が必要。
1.界面活性剤を併用する。
水系洗浄剤(中性、アルカリ性) 1.不燃性
2.毒性が少ない。
3.オゾン層破壊がない。
4.ほとんどの樹脂類に影響を与えない。
5.洗浄剤は、比較的安価である(水で希釈可能)。
6.固形物汚れも除去可能。
1.トリクロロエタンに比べて洗浄力が弱い。洗浄、リンス工程で細かい孔に浸透しない。
2.金属に対する防錆対策が必要。
3.再生不能。
4.排水処理(BOD、COD、n-ヘキサン抽出分)が必要。
5.乾燥が遅い。
6.新設洗浄設備、排水処理設備が必要(投資が多い)。
7.工程が長くなり設置スペースを要する。
1.シャワー、スプレー、超音波、液中噴流、揺動を洗浄装置に併用。
2.・洗浄剤に防錆剤添加(アルカリ性洗浄剤は防錆力を持つものが多い)
・リンス後に防錆剤槽を設置*
・リンス、乾燥時間の短縮
3.油汚れを洗浄剤から油水分離する。(系内から油の除去。洗浄剤の寿命を長くする。)
4.安価な排水処理装置の探索。リンスなしの検討。
例:水分蒸発、膜(RO、UF膜)、活性炭処理、イオン交換樹脂処理)
5.真空乾燥、エアナイフ、遠心分離の利用、IPA置換乾燥、パーフルオロカーボン乾燥(置換、蒸留)を利用する。
6.安価な装置の探索
7.コンパクトな洗浄機を探索する。

*アルカリ洗浄剤の場合リンスなしにすると表面に微量の洗浄剤が残留し防錆能力がでる。

準水系洗浄剤 1.フラックス、ワックス、グリース等の洗浄に適する。
2.洗浄時の細かい孔への浸透力がある。
3.毒性は小さい。
4.オゾン層破壊がない。
5.一般に中性であるため非鉄金属を含め多くの金属に対応可能。
6.清浄度の高い洗浄性が得られる。
1.洗浄剤が比較的高価(原液のまま使用)。
2.水の無添加品は洗浄時、可燃性。
3.再生不能。
4.プラスチック部品には予め耐溶剤性テストが必要。
5.リンス時の防錆対策が必要。
6.乾燥が遅い。
7.排水処理(BOD、COD、n-ヘキサン)対策が必要。
8.新設洗浄、排水処理設備が必要。
1.使用量の節約。
2.水添加品は水分管理が必要であり、水の無添加品は防爆対策が必要。

4.耐溶剤性テスト実施。
5.リンス後に防錆剤槽を設ける。脱酸素水使用。リンス乾燥時間の短縮。
6.水系洗浄剤と同じ。
7.水系洗浄剤と同じ。
8.水系洗浄剤と同じ。

炭化水素系洗浄剤 1.機械油に対する溶解力が強い。
2.浸透力がある(細かい孔等でも洗浄可能)。
3.一般に蒸留再生が可能。
4.金属に対して変色、しみ等の影響がない。
5.オゾン層破壊がない。
6.毒性が極めて低い。
7.コストが安い。
1.引火、爆発生がある。
2.蒸気洗浄不可能(爆発の恐れがある)。
3.乾燥が遅い(第2石、第3石のため)。
4.消防法により、貯蔵、取扱い量等規制を受ける。特に大型洗浄槽は指定数量を越えると規制を受ける。
1.できるだけ危険物第4類2〜3石油類を選択。最近提案されている洗浄剤は灯油より引火点は高い。電気装置等防爆、安全槽で対処する。
2.N2気流中または減圧下での蒸気洗浄等対策はあるが、一般的には浸漬洗浄で槽を増やし対処する。
3.エアナイフの併用、真空乾燥、熱風乾燥の併用。防爆に注意する。(熱風は1pass、熱風温度低下、ヒーターの局部加熱は不可)
4.消防法規制に適合する洗浄設備が必要。
アルコール系洗浄剤 1.浸透力がある。
2.オゾン層破壊がない。
3.低級アルコールは水でリンス可能。また水と混合して不燃性にできる。
4.毒性が小さい。
5.フラックスの洗浄に適する。
6.乾燥性は良い。
7.共沸で水切り用途にも使える。
1.可燃性で引火点が低い。
2.油に対する洗浄力は弱い。
3.蒸発ロスが多い。
4.スプレー洗浄不可。
5.吸湿性があり錆が発生する。
1.水を混合して、洗浄する。完全防爆にする。
2.超音波、振動等の併用。
3.洗浄装置をできるだけ密閉化する。
4.N2気流中でのスプレーは可能。
5.錆びやすい金属は避ける。
シリコーン系洗浄剤 1.浸透力がある。
2.オゾン層破壊がない。
3.毒性が低い。
4.プリント基板フラックスの洗浄に適する。
1.可燃性である。
2.乾燥が遅い。
3.価格が高い。
4.洗浄・リンス用と乾燥用の2種類を使わなければならない。
1.防爆タイプによる。
その他フッ素系洗浄剤(HCFC-141b、HCFC-225) 1.一般に不燃性である。
2.蒸気洗浄可能。
3.フロン113程度の洗浄力がある。
4.プラスチック部品を浸食しにくい。
5.設備投資は少ない。
1.洗浄剤が高価である。
2.トリクロロエタンに比べて油の洗浄力は劣る。
3.オゾン層破壊係数があり、2020年にほぼ全廃。また、全廃が早まる可能性がある。
4.毒性テスト(PAFT)が未完了のもがある。
5.オゾン層破壊係数の大きいHCFC-141bは米国のSNAP*では洗浄用途の使用は禁止されている。HCFC-225はSNAPで使用の容認が提案されている。
6.HCFC-141bは沸点が32℃で揮発しやすくロスが多い。
1.完全密閉式洗浄方式、排ガス回収装置を取り入れる。
2.洗浄時間の延長、物理力の付加。
3.代替洗浄剤として暫定的に考える。
4.安全衛生面に配慮。できるだけ吸入しない。

6.冷却水にチラーをつける。洗浄設備はできるだけ密閉する。

*SNAP:Significant New Alternatives Policy Program 重要代替品政策プログラム

塩素系洗浄剤(塩化メチレン) 1.不燃性である。
2.浸透性良好(細かい孔にも浸透)。
3.蒸気洗浄可能。
4.洗浄装置の一部手直しで使用可能。投資が少ない。(300〜600万円)(チラー等の設置)。
5.洗浄力が強い(浸漬の場合)。
6.蒸留再生可能。
7.生産量・輸入量に法的な規制がない。
8.オゾン層破壊係数が極めて小さい(ODP=0.007)。
9.ランニングコストが低い。
1.冷却装置に空気中の水分を取り込みやすい。
2.蒸気洗浄では洗浄不足になりやすい(沸点が低い、40℃)。
3.溶剤ロスが多い。
4.有機溶剤中毒予防規則、水濁法、下水道法、廃掃法での規制がある(排水基準0.2mg/l以下)。将来、化審法で法規制される可能性がある。
5.日本産業衛生学会及びACGIH*で発がん性の疑いが掛けられている(トリクロロエチレンより危険度ランクは高い)。
6.空気中の水分を取り込みやすいので錆が問題になることがある。
1.蒸気を再加熱して蒸気洗浄する方式がある。冷却水温度を必要以上に下げない(15〜20℃)。
2.蒸気槽の再加熱。蒸気洗浄前の浸漬槽の冷却。
3.フリーボード比を大きく取る。冷却管の冷却域を広く取る。
4.環境汚染の増大に注意し取り扱う。排水の濃度を測定し、バッキ装置、活性炭等で除去する。
5.吸入・接触をできるだけ避ける。
6.蒸気槽の再加熱。

*ACGIH:米国産業衛生専門家会議

塩素系洗浄剤(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン) 1.不燃性である。
2.浸透性良好(細かい孔にも浸透)。
3.蒸気洗浄可能。
4.トリクロロエタンと沸点が近く洗浄装置手直し不要。
5.蒸留再生可能。
6.洗浄力が強い。
7.コストが比較的低い。
8.オゾン層破壊係数が極めて小さい(ODP=0.005)
1.法規制が多い(化審法、有機則、水濁法、廃掃法その他。大気排出濃度の規制も一部都道府県条例にある)。
2.化審法により開放系用途の供給量が制限されている(入手が制限されることがある)。
3.テトラクロロエチレンについては発がん性の疑いがある。トリクロロエチレンはほぼ疑いはなし。
4.プラスチック部品の一部は浸食される。
1.法規制を守るため設備投資する必要がある(排水のバッキ装置、取扱い場所の床コンクリート化)。
2.蒸留回収装置、活性炭回収装置を付設し節約に努める。
3.発がん性疑いの有無に係わらず、蒸気吸入、接触をできるだけ避ける。トリクロロエチレンは、ACGIHで発がん性の疑いが晴れた。日本産業衛生学会では発がん性の疑いの部類には入っていない。
4.洗浄温度、洗浄時間の調節。プラスチック部品の種類を耐溶剤性のあるものに変える(フッ素樹脂等)。