技術情報誌「産業洗浄」特集のサマリー

第5号 特集“洗浄工程における再生・回収技術”

Recycling Technologies on Industrial Cleaning

技術論文

水系洗浄剤の油水分離による長寿命化

Oil Separation Techniques for a Life of Aqueous Cleaning Solution

日伸精機株式会社 設計部 設計部長

江口 春彦 Eguchi Haruhiko

環境リスクの低減を目的とした水系洗浄剤の使用量が拡大する傾向にある。  洗浄を重ねるにつれ表面から除去された油性汚れが洗浄液中に蓄積し洗浄品質を低下させるのがこの洗浄剤の問題点である。そのため洗浄後の液から油分を分離するため膜ろ過が行なわれるが、油性汚れによる膜面閉塞が問題になる。 そこで本稿では、スパイラルろ過膜によるクロスフローろ過後、スパイラル溝付き回転デイスクを用いる平膜ろ過で膜面閉塞を防ぐ新開発の二段式油水分離システムについて説明した。  ただしろ過で失われる界面活性剤やアルカリ成分などの濃度管理は今後の開発課題である。

リンス用純水のリサイクル

Recycling Unit for Rinsing Pure Water

荒川化学工業株式会社 機能材料事業部 営業部 部付部長

前野 純一 Maeno Jyunichi

温暖化ガス削減やVOC対策として、準水系および水系洗浄剤が注目される  ようになってきた。背景として、鉱油系が主体であった加工油もVOC対策で  水系への代替が進み、添加剤として含まれる水系の防錆剤や極圧剤などの電  解質成分の除去が必須となってきたことがあげられる。一方で、準水系や水系洗浄剤においては廃水処理および金属の変色や腐食の問題がある。本報  では準水系および水系洗浄における純水リンス工程において、リンス水をリ  サイクルし、水質を常時高いレベルで安定させ、かつ、環境負荷低減のため  廃水を出さないシステムとそのリサイクル方法の実施例について紹介する。 この技術を使って適切な水質管理をしながら運転することにより金属の変  色や腐食を防ぎ、かつ、低ランニングコスト化が可能である。

炭化水素系洗浄溶剤の蒸留回収技術

Distillating Technology for Hydrocarbon Cleaning Solvent

東静電気株式会社 開発技術2部 開発2課 課長

深瀬 利隆 Fukase Toshitaka

産業洗浄分野において代替洗浄溶剤への切り替えが進む中、特に鉱物性加工油に対し高い洗浄力をもつ炭化水素系洗浄溶剤の洗浄廃液を削減するなど環境負荷低減に寄与する蒸留再生技術に関して、蒸留の基本的な原理・仕組み、および高精度な回収処理を行うための方法、また蒸留装置の導入検討から実際に運用するにあたっての留意すべき点について解説する。

産業洗浄におけるVOC排出ガス排出抑制対策の留意点

Key Technology of VOC Emission Control on Industrial Cleaning

株式会社 モリカワ 環境機器部門 営業技術グループ 技師

中島 義彦 Nakajima Yoshihiko

昨今環境配慮の意識の高まりとともに産業洗浄工程におけるVOC対策も進んでいる。ところが溶剤変更や回収装置の設置などの対策が新たな環境負荷を増大させているケースが多く見受けられる。環境対策はVOCだけではなく排水処理やエネルギー量を含めた工程全体に係る総合的な環境負荷を考慮していかなければならない。圧延材洗浄工程における省エネを配慮したVOC回収対策を具体的な事例として留意点を説明する。

洗浄剤のリサイクル

Recycle of Waste Cleaning Solvents

日本リファイン株式会社 技術開発センター 理事

小菅人慈 Kosuge Hitoshi

日本リファイン株式会社における洗浄廃液の精製・リサイクル技術とリサイクルビジネスについて解説した。 洗浄廃液には、多くの場合、不揮発分や腐食性物質などが含まれる。弊社ではこれらを除去するために流下薄膜式濃縮乾燥装置を開発し、不揮発分など除去後の洗浄廃液を効率的に精製する蒸留システムを構築している。 また、洗浄廃水に微量混入した有機溶剤を回収するためのプロセスや、洗浄工程で発生する水溶性有機溶剤の蒸気を水に接触溶解させるVOC 回収装置を開発した。弊社では洗浄廃液を弊社工場で再生して客先に戻すビジネスを行っているが、その他に弊社の回収装置を客先に設置して洗浄廃水を濃縮し、これを弊社工場で精製して客先に戻すといつたビジネスも展開している。