No.63

「VOC排出抑制技術の評価ー産業洗浄におけるEVABAT導出に向けてー」

東京大学大学院工学系研究科 教授 工学博士 

平尾 雅彦 氏

  産業洗浄装置からVOCがどのように揮散しているかの定量測定実験を行った。この研究は、「揮発性有機化合物排出抑制対策に係る自主的取組推進マニュアルの作成」(平成18年度環境省調査委託研究)および「化学物質による環境負荷とリスク削減のための洗浄プロセス知識基盤の構築」(日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B))の一環として行った

ものである。

  なお、表題の“EVABAT”とは“Economically Viable Application of Best Available Technology”の略で“経済的に実行可能な最良利用可能技術”を意味する。

1.実験に供した洗浄装置および洗浄の態様

  実験洗浄装置としては、産業洗浄で最も多用されている、実際に使用している3槽式洗浄装置(洗浄→すすぎ(リンス)→乾燥)の一部を、VOC揮散条件を左右すると目くされるパラメータが可変出来るように手を加えたものを用いた。可変の部位および可変条件を表1に示した。

  被洗浄物に加工油が付着した金属部品を、VOCとしての塩化メチレンで脱脂洗浄する実験を行った。この実験態様は図1の如くである。 

2.VOC排出抑制の効果

  表1に示した条件により実験した結果、洗浄装置からのVOCの排出抑制量の効果は図2のように求められた。すなわち、抑制効果は装置の密閉化が最も顕著で、洗浄操作(局排風量)でもかなり改善する。

  洗浄装置内の洗浄剤の温度や濃度も測定してマス・ヒートバランスの分布データなども得たので、洗浄装置や洗浄剤の種類、洗浄条件などをパラメータとした任意の洗浄プロセスにおける最適洗浄が行えるシミュレーションモデルを構築中である。

(これは、「第27回JICC洗浄技術セミナー(平成18年11月17日開催)より、事業推進委員会セミナー担当文責でまとめた講演概要です。)

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