2007年6号

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1.IPCCの第4次評価報告書統合報告書

 IPCCの第4次評価報告書が、今年の初めから、第1作業部会、第2作業部会、第3作業部会と順次に発表されてきたことは、先月号で紹介した。その後、3つの作業部会の第4次評価報告書をまとめる「第4次評価報告書統合報告書」がIPCC総会において受諾された。以下は、その経緯に関する情報をIPCC及び日本政府報道発表資料に基づいて紹介する1,2)。

1.1 はじめに

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第27 回総会を2007年11 月12 〜17日に、バレンシア(スペイン)において開催され、「IPCC 第4 次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)」が承認されるとともに、「統合報告書本編」が受諾された。

IPCC 第4 次評価報告書は、三つの作業部会報告書と今回の統合報告書から構成されており、本年2月に公表された第1作業部会報告書(自然科学的根拠)、4月に公表された第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)及び5月に公表された第3作業部会報告書(気候変動の緩和策)の内容を分野横断的に有機的に取りまとめた統合報告書では、人為的な温室効果ガスの排出による気候変動の現状及び今後の見通しについての最新の知見が参加国の全会一致で取りまとめられた。

統合報告書を含む一連のIPCC 第4次評価報告書は、今後、「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」をはじめとする、地球温暖化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料となると評価される。

わが国は、第4次評価報告書の取りまとめにあたり、省庁連携によるIPCC 国内連絡会を組織し活動支援を行ってきた。また、地球シミュレーター等を活用した温暖化予測研究など、わが国の多くの研究者の論文が引用されるとともに、報告書の原稿執筆や最終取りまとめにおいて積極的な貢献を行ってきた。

同総会には、約130ヵ国の代表、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関から合計約360 名、執筆者23 名(内2名が日本からの執筆者)が出席し、わが国からは、文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省などから15 名が出席した。

1.2 統合報告書の主な結論

統合報告書では、

@気候変化とその影響に関する観測結果

A変化の原因、

B予測される気候変化とその影響

C適応と緩和のオプション

D長期的な展望

の5つの主題のもとに、第1〜第3 作業部会報告書の内容を横断的・有機的にとりまとめている。同報告書では、各作業部会報告書の政策決定者向け要約及び本文をもとに、第4 次評価報告書全体の流れが分かりやすくとりまとめられている。

1.3 今後の予定

統合報告書を含め一連の第4次評価報告書は、2007年12月3日からバリ(インドネシア)で開催される「気候変動枠組条約(UNFCCC)」の「第13回締約国会議(COP13)」への報告をはじめとして、今後の地球温暖化対策のための様々な議論に供される。

なお、今年度受賞の決まったノーベル平和賞については、その賞金を最も気候変動の悪影響を受ける途上国への情報提供等を中心に利用されるとの報告があった。

1.4 IPCC第4 次評価報告書統合報告書・政策決定者向け要約(SPM)の概要

以下は、速報版に基づくもので今後公式資料により修正の可能性があるとのことである。

統合報告書は、@気候変化とその影響に関する観測結果、A変化の原因、B予測される気候変化と

その影響、C適応と緩和のオプション、D長期的な展望 の五つの主題のもと、第1〜第3 作業部会報告書を分野横断的・有機的にとりまとめたものである。同報告書では、最新の科学的知見に基づく情報を的確に提供するとの観点から、各作業部会報告書の政策決定者向け要約及び本文をもとに、第4 次評価報告書全体の流れが分かりやすくとりまとめられている。

各主題ごとの主要な結論は以下のとおり。

(1)    主題1:気候変化とその影響に関する観測結果

     気候システムの温暖化には疑う余地がなく、大気や海洋の全球平均温度の上昇、雪氷の広範囲にわたる融解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることから今や明白である。

     地域的な気候変化により、多くの自然生態系が影響を受けている。

(2) 主題2:変化の原因

     人間活動により、現在の温室効果ガス濃度は産業革命以前の水準を大きく超えている。

     20 世紀半ば以降に観測された全球平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い。

(3) 主題3:予測される気候変化とその影響

     現在の政策を継続した場合、世界の温室効果ガス排出量は今後二、三十年増加し続け、その結果、21 世紀には20 世紀に観測されたものより大規模な温暖化がもたらされると予測される。

     分野毎の影響やその発現時期、地域的に予想される影響、極端現象の変化に伴う分野毎の影響など、世界の気候システムに多くの変化が引き起こされることが具体的に予測される。

(4) 主題4:適応と緩和のオプション

     気候変化に対する脆弱性を低減させるには、現在より強力な適応策が必要とし、分野毎の具体的な適応策を例示。

     適切な緩和策の実施により、今後数十年にわたり、世界の温室効果ガス排出量の伸びを相殺、削減できる。

     緩和策を推進するための国際的枠組み確立における気候変動枠組条約及び京都議定書の役割将来的に向けた緩和努力の基礎を築いたと評価された。

(5) 主題5:長期的な展望

・気候変化を考える上で、第3次評価報告書で示された以下の五つの「懸念の理由」がますます強まっている。

@     極地や山岳社会・生態系といった、特異で危機にさらされているシステムへのリスクの増加

A     干ばつ、熱波、洪水など極端な気象現象のリスクの増加

B     地域的・社会的な弱者に大きな影響と脆弱性が表れるという問題

C     地球温暖化の便益は温度がより低い段階で頭打ちになり、地球温暖化の進行に伴い被害が増大し、地球温暖化のコストは時間とともに増加。

D     海面水位上昇、氷床の減少加速など、大規模な変動のリスクの増加

     適応策と緩和策は、どちらか一方では不十分で、互いに補完しあうことで、気候変化のリスクをかなり低減することが可能。

     既存技術及び今後数十年で実用化される技術により温室効果ガス濃度の安定化は可能である。今後20〜30 年間の緩和努力と投資が鍵となる。

1.5    IPCC第4 次評価報告書統合報告書・政策決定者向け要約(SPM)の詳細

(1) 気候変化とその影響に関する観測結果

@     気候システムの温暖化には疑う余地がない。このことは、大気や海洋の世界平均気温の上昇、雪氷の広範囲にわたる融解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることから今や明白である(図1)。

A全ての大陸及びほとんどの海洋における観測結果から、多くの自然システムが地域的な気候変化、とりわけ気温上昇によって、今までに影響を受けていることが示されている(図2)。

B適応や気候以外の要因のせいで、その多くは識別困難であるものの、その他の地域的な気温上昇が自然環境及び人間環境に及ぼす影響が現れつつあることに中位確信度がある。

(2) 変化の原因

@     産業革命以降、人間活動による世界の温室効果ガスの排出量は増加し続けており、1970年から2004 年の間に70%増加した(図3)。

A     世界のCO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)及び亜酸化窒素(N2O)の大気中濃度は、1750 年以降の人間活動の結果、大きく増加してきており、氷床コアから決定された、産業革命以前の何千年にもわたる期間の値をはるかに超えている。                                                                                                                                                                                                                            

B     20 世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い。過去50 年にわたって、南極大陸を除く各大陸において大陸平均すると、人為起源の顕著な温暖化が起こった可能性が高い(図4)。

C     第3次評価報告書以降の進展は、識別可能な人為起源の影響が平均気温以外の気候のその他の側面にも及んでいることを示している。

D     過去30 年間にわたる人為起源の温暖化が、地球規模で、既に多くの物理システム及び生物システムにおける観測された変化に識別可能な影響を及ぼしている可能性が高い。

(3)    予測される気候変化とその影響

@     現在の気候変化の緩和政策及び関係する持続可能な開発に関する実践においても、世界の温室効果ガス排出量は今後数十年間増加し続けるとの、多くの一致と多くの証拠がある。

A     温室効果ガスが現在のまたはそれ以上の速度での排出は、一層の温暖化の原因となり、21 世紀中に世界の気候システムに多くの変化を引き起こすであろう。         その規模は20世紀に観測されたものより大きくなる可能性がかなり高い(図5)。

B     昇温分布やその他の地域スケールの特徴(風のパターン、降水、一部の極端現象や海氷現象を含む)の予測されたパターンについて、第3次評価報告書よりも高い確信度が得られた(図6)。

C     第3次評価報告書以降の研究により、気候変化の量と速度の変化に応じた、影響の起こるタイミング及び大きさについてのより系統的な理解が可能になった(図7)。

D     気候変化の速さと規模によっては、人為起源の気温上昇により、突然のあるいは非可逆的現象が引き起こされる可能性がある。

(4) 適応と緩和のオプション

@     広範囲な適応オプションが利用可能である。だが、現在行われているよりもより広範な適応策が気候変化への脆弱性を減少させるために必要である。十分に理解されていない障壁や限界、コストが存在している。

A     適応能力は社会や経済の発展と密接に結びついているが、社会間や社会内で均等に分布しているわけではない。

B     ボトムアップ及びトップダウンの研究では、今後数十年にわたり、世界の温室効果ガスの排出量の緩和ではかなり大きな経済的なポテンシャルがあり、それにより世界の排出量で予想される増加を相殺する、または排出量を現在のレベル以下に削減する可能性があると指摘している。トップダウンの研究とボトムアップの研究は、地球規模ので一致するが、部門別レベルではかなりの違いがある(図8)。

C     緩和行動を促すインセンティブを作り出すために、多種多様な政策及び手法が各国政府にとって利用可能である。その適応可能性は各国の国内事情および部門別にそれぞれの事情による。

D     国際レベルで協力を行うことにより世界の温室効果ガス排出量削減を達成する多数のオプションが存在する。気候変動枠組条約及び京都議定書の最も注目すべき功績は、世界的な気候問題への対応の確立、一連の国内政策を推進、国際的な炭素市場の創設、さらに将来的な緩和努力の基礎となる可能性がある新しい組織メカニズムを構築したことである。気候変動枠組条約のもとでの適応関連活動への取り組み、及び、追加的な国際的イニシアチブに進歩が見られた。

E     いくつかの部門において、気候対応オプションは、持続可能な開発の他の側面との相乗効果を実現し、対立を回避するために実施され得る。マクロ経済政策や気候政策以外での意思決定が排出量、適応能力、脆弱性に大きな影響を与え得る。

(5) 長期的な展望

@     国連気候変動枠組条約第2条に関係する「気候システムへの危険な人為的な干渉」とは何かの決定は価値判断を含む。この件に対して、科学は、情報に基づく意思決定を支援することができる。(どの脆弱性が「鍵」となるかを判断するための基準の提供を含む)

A     第3次評価報告書において特定された5つの「懸念する理由」は鍵となる脆弱性を検討するための有効な枠組みのひとつであり続けており、その傾向が第3 次評価報告書時よりも強まっていると評価されている。多くのリスクが高い確信度で特定されており、いくつかのリスクはより小さな気温上昇において、大きくなると予測されている。影響(第3次評価報告書の「懸念する理由」の前提)と脆弱性(影響に適応する能力を含む)との関連性についての理解は向上している。

B            適応策と緩和策のどちらも、その一方だけでは全ての気候変化の影響を防ぐことができないが、両者は互いに補完しあい、気候変化のリスクを大きく低減することが可能である。

C            多くの影響は、緩和により減少、遅延、回避することができる。今後20 年から30 年の緩和努力とそれに向けた投資が、より低い安定化濃度の達成機会に大きな影響を与えるだろう。排出削減の遅延は、より低いレベルでの安定化の機会の大きな制約となり、より厳しい気候変化の影響を増加させる(図9)。

D            評価された全ての安定化レベルの範囲は、現在利用可能な技術または今後数十年間に商業化が期待される技術のポートフォリオを展開することで達成可能である。ここでは、技術の開発、取得、展開、普及のための、そして関係する障壁に対処するための適切で効果的なインセンティブが導入されるものと想定する。

E     緩和のマクロ経済的コストは、一般的に安定化目標が厳しくなればなるほど増加する。特定の国および部門では、世界平均からかけ離れたコストになる。

F     気候変化への対応は、気候変化の被害、共同便益、持続可能性、公平性、リスクに対する姿勢を考慮し、適応と緩和を共に扱う反復性リスク管理プロセスが含まれる。

1.6 わが国における取り組み

わが国は、同報告書取りまとめに当たり、省庁連携によるIPCC 国内連絡会を組織し活動支援を行ってきた。わが国の多くの研究者の論文が数多く同報告書に引用されたほか、多くの研究者が執筆者として原稿を執筆した。また同報告書の最終取りまとめにおいてわが国は積極的な貢献を行っている。

今後、統合報告書の仮訳を早急に公開するとともに、各作業部会報告書及び統合報告書の政策決定者向け要約、各作業部会報告書技術要約等について、我が国執筆者の査読を踏まえ順次日本語訳を確定させる予定である。

1.7 わが国における第4次評価報告書執筆者

(1) 統合報告書の執筆者

     松野 太郎:(独)海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター 特任上席研究員

     杉山 大志:(財)電力中央研究所 社会経済研究所主任研究員

(2) 第1作業部会報告書の執筆者

     中島 映至:東京大学気候システム研究センターセンター長・教授

     小池 俊雄:東京大学地球観測データ統融合連携研究機構 機構長

     藤井 理行:国立極地研究所 所長

     野尻 幸宏:(独)国立環境研究所地球環境研究センター副センター長

     花輪 公雄:東北大学大学院理学研究科 教授

     住 明正:東京大学サステナビリティ学連携研究機構 地球持続戦略研究イニシャティブ 統括ディレクター・教授

     松野 太郎:(独)海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター 特任上席研究員

     鬼頭 昭雄 気象庁気象研究所気候研究部 部長

     野田 彰:(独)海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター 地球環境モデリング研究プログラムプログラムディレクター

(3) 第2作業部会報告書の執筆者

     沖 大幹:東京大学生産技術研究所 教授

     西岡 秀三:(独)国立環境研究所 参与

     原沢 英夫:(独)国立環境研究所 社会環境システム研究領域・領域長

     本田 靖:筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授

     三村 信男;茨城大学 地球変動適応科学研究機関 機関長

     高橋 潔:(独)国立環境研究所 地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室 主任研究員

(4) 第3作業部会報告書の執筆者

・山口 光恒:東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授

・杉山 大志:(財)電力中央研究所 社会経済研究所主任研究員

     甲斐沼 美紀子:(独)国立環境研究所 地球環境研究センター温暖化対策評価研究室 室長

     内山 洋司:筑波大学 大学院 システム情報工学研究科 リスク工学専攻長・教授

     小林 茂樹:(株)豊田中央研究所 先端研究部門総括室General Manager

     室町 泰徳:東京工業大学大学院総合理工学研究科 准教授

     吉野 博:東北大学 大学院 工学研究科都市・建築学専攻/建築環境工学分野 教授

     松橋 隆治:東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授

     田中 加奈子:国際エネルギー機関(IEA)エネルギー・環境課 産業政策アナリスト

            関 成孝:塩ビ工業・環境協会 専務理事

            松本 光朗:(独)森林総合研究所 温暖化対応推進拠点温暖化対応推進室 室長

            橋本 征二:(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター 循環型社会システム研究室 主任研究員

     山地 憲治:東京大学 大学院 工学系研究科 教授

     西條 辰義:大阪大学 社会経済研究所 教授

       村瀬 信也:上智大学法学部国際関係法学科教授           

1.8 COP13におけるIPCCの報告

毎年開催される地球温暖化に関する国際条約に基づく今年の国際会議として、気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)及び京都議定書第3回会議(COP/MOP3)が、12月3-14日に、バリ島ヌサ・ドゥア(インドネシア)で予定されている。

IPCCは、7日の会議で第4次評価報告書を報告し、パチャウリIPCC議長は、本報告書には将来に向けて行動を起こす十分な科学的な根拠があることを強調した。(12月9日記)

<参考文献>

1) IPCC:「IPCC 4th Assessment Report: Climate Change 2007: Synthesis Report (Summary of Policymakers)」(2007.11) ( http://www.ipcc.ch / を参照)

 文科省・経産省・気象庁・環境省仮訳:「IPCC第4次評価報告書統合報告書:政策決定者向け要約(仮訳)」(2007.11.30)

2) 文科省、経産省、気象庁、環境省:「<報道発表資料>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書統合報告書の公表について」(2007.11.17)

3) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第1作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)

4) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第2作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)

5) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第3作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)


 

<図1> 気温、海面水位及び北半球の積雪面積の変化
図SPM.1.(a)世界平均地上気温; (b)潮位計(青)と衛星(赤)データによる世界平均海面水位;(c)3〜4月における北半球の積雪面積、それぞれの観測値の変化。すべての変化は、1961 年〜1990 年の平均からの差である。滑らかな曲線は10 年平均値、丸印は各年の値をそれぞれ示す。陰影部は(a、b)既知の不確実性の包括的な分析から推定された不確実性の幅、(c)時系列から得られた不確実性の幅。{図1.1}

 

<図2> 物理システム及び生物システムにおける変化と地上気温(1970-2004)
図SPM.2.  この図は、物理システム(雪、氷、凍結した大地、水文及び沿岸プロセス)及び生物システム(陸上、海洋及び淡水の生物システム)において顕著な変化が観測された場所を、1970年から2004 年までの地上気温の変化とともに示している。577 研究からの約80,000 件のデータから約29,000 件のデータが選ばれた。これらは、以下の基準に合致する:(1)1990年以降に終了した;(2)少なくとも20 年間以上にわたる;(3)個別の研究で評価された場合に、いずれかの方向に顕著な変化を示す。これらのデータは75 件の研究(そのうち約70件は第3次評価報告書以降の新しい研究)からの約29,000 件のデータ(うち約28,000 件はヨーロッパの研究)に基づく。気温のトレンドの推定に足る観測された気候データがない地域を白で示す。2行2列の箱は、顕著な変化を示すデータの全数(上列)と、そのうち温暖化と整合するものの割合(下列)を以下の地域について示している:(i)大陸地域:北アメリカ(NAM)、ラテンアメリカ(LA)、ヨーロッパ(EUR)、アフリカ(AFR)、アジア(AS)、オーストラリア及びニュージーランド(ANZ)及び極域(PR)、(A)地球規模:陸上(TER)、海洋及び淡水(MFW)、並びに世界全体(GLO)。極域を除く各地域については、海洋及び淡水(MFW)システムに関するデータ数を含んでいないため、7地域(NAM、LA、EUR、AFR、AS、ANZ、PR)の合計数と全球(GLO)の数とは一致しない。広範囲にわたる海洋の変化は図に示されていない。{図1.2}

<図3> 地球規模の人為起源の温室効果ガス排出


図SPM.3. (a) 1970-2004年の世界の人為起源温室効果ガスの年間排出量5、(b) 2004年の人為起源温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量の内訳(CO2換算ベース)、(c) 2004年の人為起源温室効果ガス総排出量に占める部門別排出量(CO2換算ベース)の内訳 (森林部門には森林減少を含む){図2.1}

<図4> 世界規模及び大陸規模の気温変化
図SPM.4.  観測された大陸規模及び世界規模の地上気温の変化と、自然起源のみ、または、自然起源及び人為起源の放射強制力を用いた気候モデルによるシミュレーションの比較。観測された10 年平均値は、1906〜2005 年の期間について示され(黒線)、1901〜1950 年の平均と比較した各10 年ごとの値を年代の中央にプロットしている。観測面積が全体の50%未満の期間は破線で示す。青帯は、太陽活動と火山による自然起源の強制力のみを考慮した5つの気候モデルによる19 のシミュレーションの5〜95%が含まれる範囲を示す。また、赤帯は、自然起源と人為起源の放射強制力を共に考慮した、14 の気候モデルによる58のシミュレーションの5〜95%が含まれる範囲を示す。{図2.5}

<図5> 2000-2001年までの温室効果ガス排出シナリオ(追加的な気候政策がない場合)及び地上気温の予測 
図SPM.5.  左の図: 追加的な気候政策がない場合の世界の温室効果ガス排出量(CO2換算):6つのSRESマーカーシナリオ(彩色した線)、SRES後の最新のシナリオ(ポストSRES)の80パーセンタイル(灰色の彩色範囲)。点線はポストSRESシナリオ結果のすべての範囲を示す。排出量にはCO2, CH4,N2O及びフッ素系ガスが含まれる。右の図:実線は、SRES シナリオA2, A1B, B1について、20世紀末の状態を継続した場合における複数のモデルによる世界平均地上気温の上昇を示す。これらの予測は短寿命温室効果ガス及びエーロゾルの影響も考慮している。ピンク色の線はシナリオではなく、大気中の濃度を2000年の値に一定に保ったときのAOGCMによるシミュレーションによるものである。図の右の帯は、6つのSRES シナリオにおける2090-2099年についての最良の見積り(各帯の横線)及び可能性が高い予測幅を示す。全ての気温は1980〜1999年との比較である。{図3.2、図3.1}

<図6> 地上気温の上昇の地理的分布

図SPM.6.  21世紀後半(2090-2099 年)の世界平均地上気温の変化予測。地図には、SRES A1Bシナリオに関する、複数のAOGCMモデル予測の平均値を示した。すべての気温は1980〜1999 年の期間との比較。{図3.2}

<図7> 予想される平均気温上昇による主要な影響

図SPM.7. 予測される世界平均地上気温の上昇に対して予測される影響の例示。 上の図:予測される気候変化(海面水位及び大気中CO2濃度の変化を含む)に対して予測される、世界的な影響(21 世紀における世界平均地上気温の上昇量に対して示す)の例示。黒い線は影響間の関連を表し、破線の矢印は気温上昇に伴って影響が継続することを示す。記述の左端は、影響が出始めるおおよその位置を示す。水不足と洪水に関する量的な記述は、SRES A1FI, A2, B1 及びB2 シナリオの範囲で予測される条件に対する相対的な変化に対して追加的に起きる影響である。気候変化の影響は、適応の度合いによって異なる。気候変化に対する適応の効果はこれらの推定には含まれていない。すべての記述の確信度は高い。下の図:点及び帯は、6 つのSRES シナリオにおける2090-2099 年についての最良の見積り及び可能性が高い予測幅(1980-1999年との比較)。{図3.5}

<図8> 2030年の世界経済的緩和ポテンシャルと排出量増加の予測に関する比較


図SPM.9. 2030年の世界経済的ポテンシャル(a)ボトムアップ研究、(b)トップダウン研究、及び(c)SRESシナリオによる排出量増加予測(2000年の温室効果ガス排出量、CO2換算40.8Gtとの比較) 注:SRESの結果と一貫性をもたせるため、2000年の温室効果ガス排出量には、伐採及び森林減少後に残る地上バイオマスの腐食(分解)からのCO2排出量及びピートの火事、水抜き後のピート土の腐食から生じるCO2は含まない。

図SPM.10. ボトムアップ研究から推計された2030年時点の部門別経済的緩和ポテンシャルを、部門別評価で想定されるベースラインと比較したもの。ポテンシャルには、ライフスタイルの変化といった技術以外のオプションは含まれていない。{図4.1}

注:
a) 各部門別に評価された世界の経済的緩和ポテンシャルの範囲を縦軸に示す。この範囲は排出量の最終用途割当に基づくもので、電力利用による排出量は、エネルギー供給部門ではなく、最終用途部門に入れられる。
b) ポテンシャルの推計は特に炭素価格が高い場合の研究について利用可能な研究事例が少ないことで制約された。
c) 各部門で異なるベースラインが用いられた。産業部門では、SRES B2ベースラインが用いられ、エネルギー供給部門、運輸部門では、WEO 2004のベースラインが用いられた;建築部門は、SRES B2及びA1Bの中間のベースラインに基づくものであり、廃棄物部門ではSRES A1Bの変動要素を用いて、廃棄物に固有のベースラインを作成した。農業及び林業では、主にSRES B2の変動要素を用いたベースラインが使われた。
d) 輸送部門では世界の合計量だけが示されている。これは国際航空輸送が含まれているためである。e) 建築物部門及び輸送部門の非CO2排出量、原材料効率オプションの一部、エネルギー供給部門における熱の生産とコジェネレーション、重量車両、船舶輸送、高乗車率公共輸送、建築物における最大コストオプション、排水処理、炭鉱及びガスパイプラインからの排出削減、エネルギー供給及び輸送部門からのフッ化ガスは含まれない。これらの排出量から合計した経済的緩和ポテンシャルの過小評価は、10〜15%のオーダーである。

<図9>安定化レベルの範囲におけるCO2排出量と平均気温の上昇量

図SPM.8. 1940年から2000年の世界のCO2排出量と、2000年から2100年に関する安定化シナリオカテゴリーのそれぞれに応じた排出量の範囲(左図)及び、安定化目標と産業革命以前比の可能性の高い平衡状態の世界平均気温上昇量との関係(右図)。平衡状態に至るには数世紀かかるとみられ、高い安定化レベルのシナリオについては特にその傾向が顕著である。彩色された領域は、それぞれの目標(安定化カテゴリーIからY )に対応して分類された安定化シナリオを示す。右の図は、産業革命以前からの世界平均気温上昇の幅を示し、次のものを用いた:(i) 気候感度として「最良の見積もり」の3℃(彩色された領域の中心にある黒い線)、(ii) 気候感度として可能性が高い予測幅の上限である4.5℃(彩色された領域の上にある赤い線)、(iii) 気候感度として可能性が高い予測幅の下限である2℃(彩色された領域の下部にある青い線)。左図の黒の破線はSRES(2000)以降に発表された最近のベースラインシナリオの排出量の幅を示す。CO2のみの、及び複数の温室効果ガスに関する安定化シナリオの排出量の、すべてのシナリオ分布の中の第10パーセンタイルから第90パーセンタイルの幅を示す。注)ほとんどのモデルのCO2排出量には、伐採及び森林減少後に残る地上バイオマスの腐食(分解)からの排出量及びピートの火事、水抜き後のピート土の腐食から生じる排出量は含まれない。{図SPM.7,SPM8}

2.審議会の開催状況  2007年10月および11月に開催された経済産業省および環境省の審議会の環境問題関連会合は以下の通りである。

2-1 中央環境審議会地球環境部会 第2回懇談会

 ・日時:平成19年10月3日(水)

 ・場所:航空会館703会議室

 ・議題:低炭素社会の検討について

     尾島俊雄  早稲田大学創造理工学部 建築学科教授

 原田 泰   株式会社大和総研 チーフエコノミスト

     薗田綾子  株式会社クレアン代表取締役

 ・配布資料:

  <資料1> 低炭素社会の検討について(早稲田大学創造理工学部建築学科教授 尾島俊雄)

<資料2>環境保護と低炭素社会についての an economist の見方(株式会社大和総研チーフエコノミスト 原田 泰)

    <資料3> 「低炭素社会づくり」長期ビジョンについて(株式会社クレアン代表取締役 薗田綾子)

<資料4> 中央環境審議会地球環境部会懇談会(低炭素社会)の開催日程

<参考資料>地球温暖化対策をめぐる国際的動向について

2-2 産業構造審議会第9回基本政策部会

 ・日時:平成19年10月10日(水)

 ・場所:経済産業省 本館17階 西国際会議室

 ・議題:報告書とりまとめに向けて

 ・配布資料:

  <資料1>議事次第

  <資料2>委員名簿

    <資料3>報告書とりまとめに向けて

<資料4>@参考資料

       A潜在的所得格差の分析とマイクロ・シミュレーションモデルによる将来推計

2-3 中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会

環境部会 地球環境小委員会第23回合同会合、産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会関連ワーキンググループ合同会議

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年10月11日(木)

・場所:三田共用会議所 講堂

・議題:      (1)    経済産業省所管業種の自主行動計画

              フォローアップ@(電力、鉄鋼、化学、石油、製紙、セメント業等における地球温暖化対策の取組)

              (2)その他

・配布資料:

<資料1>自主行動計画フォローアップについて

<資料2>電気事業連合会資料

<資料3>日本鉄鋼連盟資料

<資料4>日本化学工業協会資料

<資料5>石油連盟資料

<資料6>日本製紙連合会資料

<資料7>セメント協会資料

<資料8>日本ガス協会資料

<資料9>日本LPガス協会資料

<資料10>特定規模電気事業者資料

<資料11>日本鉱業協会資料

<資料12>石灰石鉱業協会資料

<資料13>石油鉱業連盟資料

<資料14>石灰製造工業会資料

<資料15>日本ゴム工業会資料

<資料16>日本アルミニュウム協会資料

<資料17>日本電線工業会資料

<資料18>日本伸銅協会資料

<資料19>板硝子協会資料

<資料20>日本染色協会資料

<資料21>日本ガラスびん協会資料

<資料22>日本衛生設備機器工業会資料

<参考資料1> 京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告

<参考資料2> 京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針

<参考資料3> 2006年度 自主行動計画フォローアップ結果 

<参考資料4> 重点検討項目についての委員からの意見

2-4 産業構造審議会化学・バイオ部会第18回地球温暖化防止対策小委員会

 ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

 ・日時:平成19年10月12日(金)

 ・場所:経済産業省本館17階国際会議室

・議題:(1)京都議定書目標達成計画に基づく

取組の評価について

・産構審環境部会地球環境小委・中環審地球環境部会合同会合における検討状況 について

・代替フロン等3ガス分野の第一約束期間の見直しについて

(2)その他

  ・モントリオール議定書第19回締結国会合の結果について(GCFC削減スケジュールの前倒しなど)

 ・配布資料:

<資料1−1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告

<資料1−2>委員からの意見(産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第21回)配付資料)

<資料1−3>産構審・中環審合同会合の今後のスケジュールについて(案)(産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第22回)配付資料)

<資料2>代替フロン等3ガスに係わる2010年見通し

<資料3>代替フロン等3ガス関連の予算要求状況について

<資料4>改正フロン回収・破壊法にかかる普及啓発の取組について

<資料5>オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第19回締結国会合について(結果概要)

2-5 中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会 地球環境小委員会第24回合同会合、産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会関連ワー  キンググループ合同会議

 ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

 ・日時:平成19年10月17日(水)

 ・場所:東海大学校友会館

 ・議題:(1)経済産業省所管業種の自主行動計画フォローアップA

(電機、電子、自動車、流通、製紙、サービス業等における地球温暖化対策の取組)

(2)その他

 ・配布資料:

<資料1>自主行動計画フォローアップについて

<資料2>電機・電子4団体資料

<資料3>日本自動車工業会資料

<資料4>日本チェーンストア協会資料

<資料5>日本フランチャイズチェーン協会資料

<資料6>日本百貨店協会資料

<資料7>情報サービス産業協会資料

<資料8>リース事業協会資料

<資料9>大手家電流通懇談会資料

<資料10>日本産業機械工業会資料

<資料11>日本工作機械工業会資料

<資料12>日本ベアリング工業会資料

<資料13>日本建設機械工業会資料

<資料14>日本自動車部品工業会資料

<資料15>日本自動車車体工業会資料

<資料16>日本産業車両協会資料

<資料17>日本DIY協会資料

<資料18>日本チェーンドラッグストア協会資料

<資料19>日本貿易会資料

<資料20>大規模展示場連絡会資料

<参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告

<参考資料2>京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針

<参考資料3>2006年度 自主行動計画フォローアップ結果 

<参考資料4>重点検討項目についての委員か  らの意見

2-6 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第25回)

 ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

 ・日時:平成19年10月23日(火)

 ・場所:御茶ノ水ビジネスセンターホール5A

 ・議題:(1)自主行動計画の進捗状況等について(各省庁・主要業種からのヒアリング)

(2)その他

 ・配布資料:

<資料1>自主行動計画の深掘り・対象範囲の拡大等 各省庁所管業種の進捗状況

     (10月23日時点)

     様式1 総括表

(参考) 産構審・中環審第18回合同会合資料より(6月27日時点)

     様式2 各業種等の個票

<資料2>各業種からの説明資料

<資料3>各府省庁等における追加対策等の検討状況

<参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告

<参考資料2>京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針

<参考資料3>自主行動計画フォローアップ(経済産業省所管業種)に関する委   員からの意見

2-7 化審法三省合同審議会(平成19年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会化学物質審議会第68回審査部会第72回中央環境審議会  環境保健部会化学物質 審査小委員会)

・日時:【第1部】平成19年10月26日(金)

    【第2部】平成19年10月26日(金)

・場所:経済産業省 国際会議室(本館17階)

・議題:【第1部】

    (1)前回審議結果の確認等について

        (2)既存化学物質の審議等について

        (3)その他

    【第2部】

    (1)前回指摘事項等の確認等について

        (2)新規化学物質の審議について

        (3)その他

 ・議事:【第1部】

    会議は公開で行われた。

議題1について、前回審議結果の確認が行われた。

議題2について、既存化学物質31物質の判定について審議が行われた。

    議題3について、必要な議論が行われた。

    【第2部】

        会議は非公開で行われた。

議題1について、前回指摘事項に対する回答の確認等が行われた。

議題2について、届出があった新規化学物質56件の判定について審議が行われた。議題3について、必要な議論が行われた。

   なお,今回は,経済産業省化学物質審議会 第68回審査部会及び環境省 第72回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会と合同で開催された.

2-8 薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会PRTR対象物質調査会、化学物質審議会管理部会、中央環境審議会環境保健部会PRTR対象物質等専門委員会合同会合(第1回)

 ・日時:平成19年10月29日(火)

 ・場所:東海大学校友会館阿蘇の間

 ・議題:(1)合同会合の設置について

          (2)化管法対象化学物質の選定の考え方について

          (3)その他

 ・配布資料:

<資料1>    薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会PRTR対象物質調査会、化学物質審議会管理部会、中央環境審議会環境保健部会PRTR対象物質等専門委員会委員名簿

<資料2-1>特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)の概要

<資料2-2>  化管法見直し合同会合中間とりまとめ<概要、抜粋>

<資料2-3>  3審議会への諮問

<資料2-4>  合同会合の進め方及び今後のスケジュール(案) 

<資料3>    化管法対象物質の現行の考え方について

<資料4-1>  化管法対象物質の見直しに関する論点

<資料4-2>  有害性の観点からの化管法対象物質の見直し 

<資料4-3>  暴露の観点からの化管法対象物質の見直し

<資料5>候補物質の選定に関する作業状況 

<参考資料1>特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律及び施行令(抄) 

<参考資料2>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会、産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ合同会合中間とりまとめ

<参考資料3>特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定について(答申)(平成12年2月)

<参考資料4>GHS−化学品の分類及び表示に関する世界調和システム−

<参考資料5>環境リスクの初期評価結果について

2-9 第6回 揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会

 ・日時:平成19年11月9日(金)

 ・場所:主婦会館プラザエフ スイセン

 ・議題:

(1)    前回検討会における指摘事項と対応方針について

(2)    精度上の問題点の優先順位付けと今後の情報収集の方針について

(3)    法令取扱分類別排出量に関する調査の進捗状況と今後の方針について

(4)    排出量の増減の検証方法について

(5)    その他

 ・配布資料:

議事次第

揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会 座席表

<資料1>第5回揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ検討会議事要旨等(案)

<資料2>精度上の問題点の優位順位付けと今後の情報収集の方針(案)

<資料3>法令取扱分類別排出量に関する調査の進捗状況と今後の方針(案)

<資料4>排出量の増減の検証方法(案)

<参考資料>その他の指摘事項への対応方針

 

2-10 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第26回)

 ・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

 ・日時:平成19年11月21日(水)

 ・場所:ベルサール九段 ホール

 ・議題:(1) 各省庁からの関連対策の検討状況ヒアリング(警察庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省)

       (2)    重要検討項目について(太陽光等新エネルギーの導入促進)

                    〇NPO法人環境エネルギー政 策研究所所長 飯田哲也氏

                    〇東京工業大学統合研究院教授 大学院理工学研究科機械制御システム専攻教授 柏木孝夫氏

       (3)その他

 ・配布資料:

<資料1>今後の審議内容・スケジュールについて

<資料2>警察庁資料

<資料3>総務省資料

<資料4>文部科学省資料

<資料5>厚生労働省資料

<資料6>農林水産省資料

<資料7>資源エネルギー省資料

<資料8>飯田委員資料

<資料9>柏木教授資料

<参考資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告

<参考資料2>京都議定書目標達成計画の見直しに向けた基本方針

<参考資料3>2006年度(18年度)の温室効果ガス排出量速報値について

<参考資料4>2007年度自主行動計画フォローアップ結果及び今後の課題等(案)


2007年5号

★これまでの掲載分へ

1.モントリオール議定書締約国会合第19回会合

 9月17日〜21日の5日間にわたり、カナダのモントリオールにおいて「モントリオール議定書第19回締約国会合」が開催された。

 会合においては、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の規制スケジュールの強化を内容とした「モントリオール調整」が決定されたほか、今年がモントリオール議定書の採択20周年に当たることから、同議定書が過去20年に成し遂げた成果を確認し、今後も引き続きオゾン層保護に取り組んでいくことを再確認するなどの「モントリオール宣言」が採択された。その概要を経済産業省及び環境省の資料を基に紹介する1ー2) 。

 

<写真1>第19回モントリオール議定書締約国会合3)

 

1.1 HCFC対策の強化(「モントリオール調整」)

(1)HCFCの問題点の分析

・ 途上国におけるHCFCの生産・消費量は、モントリオール議定書で唯一規制が開始されていない(現行規制の基準年は2015年とされ、2040年の全廃期限まで段階的削減義務も負わない)。

  しかし、中国を中心とする途上国における生・消費の急増によって、オゾンホール回復の遅れ(10〜25年の遅れ)や温暖化への悪影響が懸念され、削減スケジュールの前倒しの必要性が 指摘されてきている(図表1)。

 

<図表1>主要国のHCFC消費量推移(1992年〜2005年)1)

HCFCはオゾン層破壊効果があるのみならず、非 常に高い温室効果もある。( HCFC22の温暖化係 数は、IPCC4次レポートによると、1,810である。

HCFC22の製造段階で生じる副生成物(HFC23)は、さらに高い温室効果がある。(HFC23の温暖化係数は、IPCC4次レポートによると、14,800である。

HFC23の破壊炉設置が京都メカニズムのCDMの認定を受ければ、大量のクレジットが発生し高額の収入が得られる。(安価なHCFC22による市場への悪影響のおそれが「TEAP2007年報告書」で指摘されている。)

・「SAP(Scientific Assessment Panel)2006年報告書」によると、従来は“オゾンホールは、今世紀半ば頃に1980年の状態に回復する”とされていたが(2002年報告書)、それからオゾンホールの回復が2060年〜2075年(10年〜25年遅れ)の見込みと再評価した。途上国におけるHCFC使用量の増加、冷凍・空調機器等の廃棄時のCFC、HCFCの排出増加が遅れの理由として挙げられている。

<写真2>オゾンホール1)

「TEAP/HCFCタスクフォース報告書」(今次会合前に公表)によると、現行規制をそのまま継続した場合、CFCの削減等により世界のODS排出量は次第に削減されるが、途上国でのHCFC (主に冷凍・空調用途)の増産により、2025年から途上国の全廃年である2040年まで約9億CO2トン/年(CFCを含む)の排出が続く(図表2)。

 

<図表2>ES-4 Emissions in Mtonnes CO2-ea for all ODS applications (2002-2050)1)

 

(2)途上国の削減スケジュール

  現行の議定書では、開発途上国において2010年に生産・消費が全廃されるクロロフルオロカーボン(CFC)の代替物質であるHCFCについて、2016年以降、その生産量・消費量を2015年の水準を上回らないよう規制し、消費量については2040年に全廃することとされている。

 今次会合では、開発途上国におけるHCFC対策の強化について集中的な議論がなされ、以下の規制強化が決定された(図表3)。

<図表3>途上国の削減スケジュールの強化1)

 

 

基準年:(従来)2015年

      (決定)2009〜2010年の平均

規制開始:(従来)2016年

           (決定)2013年

段階的削減:

  (従来):なし

  (決定)2015年に−10%、2020年に−35%、     

          2025年に−67.5%へ、段階的に生産量・  

     消費量を削減する。

全廃:(従来)2040年

     (決定)2030年

必要不可欠用途の除外:

  (従来)なし

  (決定)既存の冷凍空調機器の補充用冷媒に限   

     り、2030〜2040年の間年平均で基準の 

     2.5%までを許容。

(3)先進国の消費量の削減スケジュール

消費量の段階的削減の幅を一部強化する。

 (従来)2010〜2014年の間、基準年(1989年)比で65%削減決定)2010〜2014年の間、基準年(1989年)比で75%削減(図表4)

 

<図表4>先進国の消費量の削減スケジュールの 強化1)

 

(4)先進国の生産量の削減スケジュール

生産量削減スケジュールの段階的削減・全廃期 限を設定する(図表5)。

 (従来)2004年以降基準量注)を上回らないよう規制(決定)2010年に75%削減、2015年に90%削減、2020年に原則全廃する

  (注)先進国におけるHCFCの消費量・生産量の規制は、1989年の消費量・生産量をもとに算定。

 

<図表5>先進国の生産量の削減スケジュールの 強化1)

 

(5)前倒し合意に至るまでの議論の経緯

・ 米国、ブラジル、ノルウェー、ミクロネシア等からの大幅な削減スケジュール前倒し提案が提出され、今次会合ではHCFCの前倒しを集中的に議論する方向へ。

・ 当初、途上国の削減スケジュールの大幅な前倒しを求める先進国と、一定の前倒しを許容するものの多数国間基金による支援のコミットメントを求める途上国が対立。

・ しかし、島嶼国による温暖化に伴う海岸線の浸食等の切実な訴えなどにより途上国内も分裂。中南米は当初から前倒しに積極的であったが、アフリカ、東南アジア諸国等も前倒しへの賛成に転じ、中国が残る状態に。

・ 我が国からも、CDMによるHFC23の破壊炉設置事業の支援に連動しうるHCFCの生産拡大に歯止めをかける必要や、代替フロンに関する技術協力、また、低温室効果ガス開発に向けたブレイクスルー(技術革新)促進の必要性、フロンの回収・リサイクルを進めることで新規生産を抑制するといった取組の重要性などを主張し、途上国の削減スケジュール前倒しの実現に向けて積極的に議論に参画。

・ 議論は会議最終日の深夜まで行われたが、最終的に全ての主要な論点について、全加盟国の合意が得られた。

(6)多数国間基金について

・ 途上国が前倒しされたスケジュールを遵守できるよう、基金が安定的かつ十分であるべきことを合意。今後の基金執行委員会において、HCFC機器の具 体的な転換計画の策定について議論が開始される予定。

・ 今後、HCFC機器にかかる巨額の転換需要が生じ る見込み。

EUは、来春にも独自に冷媒空調分野での自国のHCFC代替技術に関する途上国向けワークショップを開催する旨、表明。

 (参考:現在、途上国の代替への支援として、先進国全体で年間約1.5億ドルの基金を拠出(日本は、 約2割を拠出))。

1.2 新たなオゾン層破壊物質の追加

次回の議定書改正の際に、n-プロピルブロマイド(nPB)を規制物質に追加することを考慮するとの決定案、並びにCF-31(3フッ化ヨウ化メタン)等の大気寿命の短いハロゲン化された物質について、それらの生産実態、今後の予測、オゾン層への影響等を検証するとの決定案が提出されていた。

しかしかし、近年、科学評価パネル(SAP)より科学的見地からの新しいデータが示されておらず、また、大気寿命の短い物質のうち、特定の物質のみ挙げられている理由が不明確であるため、今時会合では両決定案ともいま検討すべきではないとの意見があり、更に議論を深めることにコンセンサスが得られないとして、両決定案は取り下げとなった。

1.3 「モントリオール宣言」の採択

本年は、モントリオール議定書が採択されて20周年に当たることから、これまで同議定書が達成した成果を確認した上で、議定書に基づく全廃義務に対する約束の再確認、議定書が成果を挙げてきた要因とその継続的必要性の確認、気候変化など他の環境問題にも資する方法でオゾン層回復を加速する重要性の確認、議定書と他の国際機関との協調の可能性の確認などを内容とする宣言文が全会一致で採択された。以下は、環境省が仮訳として発表した全文である。

「モントリオール宣言」

モントリオール議定書の締約国は、議定書の20周年に際して、ハイドロクロロフルオロカーボンの段階的削減の加速に関する画期的な合意と、これによりオゾン層保護のための地球規模の努力における大きな一歩を踏み出すと同時に気候変動を含む環境への更なる有益な影響を与える機会を提供するという、成功裡の結論を誇りを持って祝福し、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の下で過去20年にわたって達成されてきた地球のオゾン層を現在及び将来の世代のために回復・保護するための歴史的な地球規模の協力について栄誉を持って確認し、また、特に、モントリオール議定書がオゾン層の回復に向けた実質的かつ実証された進展をもたらし、最も成功した多数国間環境協定の1つとして認められていること、モントリオール議定書の成功が先進国と開発途上国との間の前例のない協力の精神を反映したものであること、モントリオール議定書が、全ての締約国が参加し十分に取り組むという約束に基づき、締約国の共通だが差異のある責任という概念の上に機能していること、モントリオール議定書が締約国の政策決定に情報を提供する科学・経済・環境・技術上の援助を行う機関、及び締約国の遵守及び関連する能力開発の支援を行ってきたモントリオール議定書の実施のための多数国間基金によって支えられていること、オゾン事務局がモントリオール議定書の成功に際し全ての締約国を十分に支援してきたこと、モントリオール議定書が環境及び人の健康の保護に大きく貢献する技術革新の発展を促進してきたこと、オゾン層を保護するためにとられた措置が気候変動を含む地球大気の問題に極めて有益な影響をもたらしたこと、モントリオール議定書は、その誕生以来、社会の全ての分野にわたる幅広い参加を歓迎するとともにそれによって便益を受けていたことに留意し、モントリオール議定書の成果をもってしても、オゾン層は引き続き脆弱であり、回復するには数十年を要すること、及びオゾン層の長期的な保護は締約国による継続的な警戒、努力並びに措置に依存することを認め、全ての締約国がその段階的削減義務を履行するとともに、オゾン層破壊物質(ODS)がオゾン層を脅かすことを防止するための適切な措置をとる重要性を認め、モントリオール議定書が地球の最も脆弱な部分及びその住民に便益をもたらすことに果たしている継続的な役割を認め、

1.   議定書上の義務に従ってODSの消費及び生産を段階的に削減するという約束を再確認し、

2.   モントリオール議定書の目的の達成に関する今日までの進展を保障し、新たに生ずる問題に対応するための継続的な警戒の必要性を認め、

3.   議定書の改正のすべて *をできる限り早期に締結するために努力し、

4.   実証及び測定が可能で、野心的だが現実的な目標を有する国際的取決めへのほとんど普遍的と言ってよい参加、及び技術、政策並びに財政上の支援を提供するために設立された仕組み、特に多数国間基金によって果たされた役割の歴史的な、また進行中の重要性を認め、

5.   技術移転、情報交換及び能力開発のための協力など様々な手段を通じて、議定書の下での義務を履行するために議定書第5条国を支援することの重要性を認め、

6.   オゾン層及びオゾン層への脅威に関する我々の理解のために科学が重要な貢献を果たしたこと、及びオゾン層の保護は継続的な地球規模の約束並びに科学的研究・監視・警戒の水準の維持を必要とすることを確認し、

7.   モントリオール議定書を支援する機関によって締約国に提供された特別な業績並びに尽力、及びそれら機関の継続的な役割の重要性を認め、

8.   他の環境問題、特に気候変動にも対応する方法でオゾン層の回復を加速することの重要性を認め、

9.   人及び環境の保護を強化するため、モントリオール議定書と他の関連する国際機関及び協定との間の協力の機会を認める。

 


2.モントリオール議定書採択20周年の記念表彰

 今回の締約国会合では、モントリオール議定書採択20周年を記念して、これまでオゾン層保護対策活動に関わった組織、チーム、団体、個人が、その貢献の内容に応じて表彰される行事が、国連環境計画及び米国環境保護庁の主催で行われた。

その各種の表彰を総計すると、複数の受賞を受けた表彰者も含めて、276件(うち日本13件)に上り、オゾン層保護対策が、いかに、地球規模で、各国、各分野、各階層の人々と人の集合体で進められてきたかを再認識することができる。

 この表彰の内容について、国連環境計画及び米国環境保護庁それぞれのガイドブックからその概要を紹介す4,5)

2.1 国連環境計画の表彰

(1)表彰の概要

@                     モントリオール議定書先見賞(Montreal       

 Protocol Visionaries Awards):全11名(日本0名)

 モントリオール議定書、多数国間基金のインフラストラクチャーの創設への特別な貢献を顕彰して。

A顕著な貢献賞(Outstanding Contributors     Awards):全18名(日本0名)

  創設者の先見の明を受け継ぎ、現在の問題に取り 組むためにそれを高める卓越した貢献を顕彰して。 

B実行者賞(Implementers Awards):39件(日本2件)

日本製薬団体連合会CFC委員会

猪俣忠徳氏(元カナダ公使、元基金執行委員 会議長)

 議定書の段階的廃止を実現するために国家レベルで支援した困難な作業を遂行した国家オゾンユニットあるいは個人による特別の貢献を顕彰して。

C革新者賞(Innovators Awards):11件(日本1件)

・川上房雄

 ODSの段階的廃止を可能にした代替品及び代替技術の普及を促進した特別の貢献を顕彰して。

Dモントリオール議定書公共意識賞(Montreal   Protocol Public Awareness Awards):11件(日本1件)

ストップ・フロン全国連絡会 (JASON)

  オゾン層破壊及びそれに取り組む地球規模の努力について意識を高める卓越した業績を称えて。

Eパートナー賞(Partners Awards):16件(日本1件)

(社)日本電機工業会(JEMA)

  モントリオール議定書の展開もしくは実施において決定的な役割を果たした市民団体及び国際組織の業績を顕彰して。  

F実施機関賞(Implementing Agency Awards):4機関、50名(スタッフ)

  モントリオール議定書実施のための多数国間基金は、過去17年間に、140ヵ国以上の開発途上国において5500件以上のプロジェクトを承認しした。この作業のほとんど大多数は、高度に専門化し、非常に献身的な国際的市民奉仕者の大グループによって行われてきた。これらの個人にとって、オゾン層の保護は、職業以上のもので、彼らはODS全廃のために開発途上国を支援ために、たゆみなく活動してきた。それゆえに、本賞は、個人全員と下記の団体に与えられるものである。

  ODSの段階的廃止とオゾン層保護のための地球規模の努力を行う開発途上国への顕著な支援を顕彰して。

Gモントリオール議定書二国間支援実施機関賞  (Montreal Protocol Bilateral Implementing    Agency Awards):9件(日本1件)

日本政府

  モントリオール議定書実施のための多数国間基金の条件に従い、拠出国は、二国間支援に対して、彼らの拠出金の20%までを当てることが認められている。ある拠出国は、モントリオール議定書に基づいて開発途上国が義務を果たすために、多数の開発途上国に対して、手頃な計画を管理し、直接的な支援を提供することにこの条項を利用してきた。それゆえ、本賞は、かかる7ヵ国の関係機関に与えられる。

  ODSの段階的廃止とオゾン層保護のための地球規模の努力における開発途上国への特別な貢献を顕彰して。  

Hモントリオール議定書の顕著なサービス賞   (Montreal Protocol Outstanding Services    Awards):10名(日本0件)

  必然的に、ある国際的な専門家及び組織により提供される重要なサービスは、前述のある特定の部門では適切に組み込まれなかった。従って、彼らの努力は、本賞で顕彰されるものである。

  モントリオール議定書締約国への顕著なサービス、及びオゾン層保護への地球規模の努力を顕彰して。

I技術・経済評価パネル・チャンピオン賞    (Technology and Economic Assessment Panel

 Champion Awards):45名(日本2名)

山辺正顕氏(産業技術総合研究所) 

藤本祐一氏(環境コンサルタント、元JICOP アドバイザー)

  技術・経済評価パネル(TEAP)は、モントリオール議定書の鍵を握る柱であった。この組織の活動は、ほぼ完全にボランティアで構成され、関係する重要問題について、議定書締約国が情報に基づく決定を行うことが可能となるために不可欠であった。ここで栄誉を受けるパネル・メンバーが、TEAP及び各種のTEAPタスクフォースにおける彼らの作業を通して議定書に多くのものを与える一方、全員が、その他の非常に重要な方法でもオゾン層保護に貢献した。

  モントリオール議定書締約国への特別なサービス及びオゾン層保護への地球規模の努力を顕彰して。  

2.2 米国環境保護庁の表彰

   米国環境保護庁ha,モントリオール議定書採択20周年を記念して、「2007年米国環境保護庁Best-of-The-Best成層圏オゾン層保護賞」(2007 U.S.EPA Best-of-the-Best Stratospheric Ozone Protection Award)を企画した。

  同賞は、ODSの全廃、もしくは増加した紫外線照射への暴露の影響から社会を守ることに特別の指導力を発揮したか、個人的に貢献した企業、団体、チーム、個人を表彰するものである。

 受賞者は、1990年から2007年の間に、米国環境保護庁の各年の成層圏オゾン層保護賞の受賞者から選ばれた。

受章者の内訳と日本受章者の受賞理由は以下の通りである。

企業/軍関係者:全10件(日本0件)

団体:全5件(日本2件)

チーム:全6件(日本0件)

個人:全31名(日本3名)

(1) 日本製薬団体連合会CFC委員会(団体賞)

  CFC含有の定量噴霧式吸入器(MDI)からCFCフリー代替品への転換は、近年の製薬会社にとって、最も技術的に挑戦的な問題の1つであった。日本製薬団体連合会(FPMAJ)のCFC委員会は、CFC含有MDIからの転換で世界の指導者となっている。彼らは、世界で最初に国内のMDIにおけるCFCの全廃を達成した一人であった。それは、個々の企業が関係省庁及び環境保護団体との協力の下に、慢性閉鎖性疾患(COPD)及び喘息の患者を看護する革新的な転換戦略をたてて行われた。現在日本では、HFC含有MDIと粉末式吸入器を含む23種類のCFCフリー代替商品が上市されており、オゾン層は、日本の呼吸器疾患の患者の治療を減退させることなく守られてきた。

(2) 本産業洗浄協議会(JICC)(団体賞)

 JICCは、約130社の企業(産業洗浄に係る洗浄剤、洗浄装置、周辺装置のメーカー) により、オゾン層を自主的に保護することだけを目的とする私的組織として、1994年4月に設立された。JICCの目標は、産業洗浄工程で、特に小企業での洗浄現場で使用されていた1,1,1-トリクロロエタン、CFC-113及びその他のODSである溶剤の完全廃止を促進してオゾン層を保護することであった。当時、ODSの段階的廃止が最も困難な目標は、小企業における産業洗浄工程であると云われていた。JICCは、この目標に組織的に挑戦し、日本におけるこの分野でのODS全廃を成功裡に達成した。同時に、途上国におけるオゾン層保護活動にも支援を続け、更には、オゾン層回復を促進するために、HCFCをモントリオール議定書の段階的廃止スケジュールよりも早めに全廃する活動を継続してきた。

(3)木下正利:三菱化工機株式会社(個人賞)

  木下正利氏は、日本産業洗浄協議会(JICC)の初代会長として、ODSを全廃するために、代替品、代替技術を、日本及び世界に広く提供するよう、JICCを組織し、運営した。JICCは、約130社の企業(産業洗浄に係る洗浄剤、洗浄装置、周辺装置のメーカー) により、1994年4月に設立された。この新しい組織の主要な目的は、産業洗浄工程で、特に小企業での洗浄現場で使用されていた1,1,1-トリクロロエタン、CFC-113の段階的廃止を促進してオゾン層を保護することであった。木下氏は、JICCの初代会長として5年間(1994年4月〜1999年5月)、その後はJICC顧問として現在まで、オゾン層保護活動支援を続けてきた。

(4)松本泰子:グリーンピース・ジャパン(現京都大学准教授)(個人賞)

  松本泰子氏は、1990年から1998年にかけて、グリーンピース・ジャパンで大気問題活動家を務め、オゾン層と地球温暖化の作業の調整を担当した。当時、ODSに関する情報は一般には入手困難であったが、松本氏は日本における生産と消費の動向を調査、調整し、メディアに助言し、講義と講演を行って、オゾン層破壊への認識を高めることに尽力した。同氏はまた、商品化されたグリーンフリーズ型の冷蔵庫のロビー活動を日本で行い、グリーンフリーズ展示会を冷蔵庫業界を含む産業界向けに開催し、ヨーロッパ企業の協力の下に関連日本企業のためにセミナーを主催し、メディアを通して働きかけ、はがきキャンペーンのような消費者活動を指導して、日本初のODSフリー冷蔵庫の商品化を支援した。新聞記事及び消費者協同組合とその他のNGOの協力で、消費者活動あるいは環境運動に係わったことのない多くの人々が、日本の家電企業に市場からの圧力をかけることを支援して、はがきキャンペーンに参加した。彼女の活動は、グリーンピース・ジャパンの鈴木一恵氏引き継がれた。

(5)小田切 力:日本産業洗浄協議会(個人賞)

  小田切力氏は、日本及び開発途上国における洗浄分野でのODSの段階的廃止に関する各種プロジェクトの展開、実行に重要な役割を果たし、技術支援の調整を続けている。同氏は、日本の小企業におけるODSの洗浄剤を全廃することに尽力したが、それには、各種の組織的措置の開発、洗浄に関係する新しい協議会の組織化、マニュアル、ガイドブックの編集、講演及び執筆などの活動がある。彼はまた、海外の数多くの技術論文及び出版物を翻訳して、日本に紹介した。同氏のオゾン層保護活動は、彼が過去に所属し、また現在所属している組織(旭化成工業梶Aクロロカーボン衛生協会、オゾン層保護対策産業協議会、日本産業洗浄協議会、相模環境リサーチセンター)で、1988年以来継続してきたものである。            <参考文献>

1) 経済産業省オゾン層保護等推進室:「モントリオ

   ール議定書第19回締約国会合について(結果概

   要)」(2007.10.12)

2)             環境省:「モントリオール議定書第19回締約国会合の結果について)」(2007.9.22)

3) http://www.iisd.ca /ozone/mop19/

4) UNEP:「Awards Book: Montreal Protocol on   

   Substances that Deplete the Ozone Layer=

   Celebrating 20 years of progress in 2007=」

(2007.9)

5) US EPA: 「Best of the Best: Stratospheric Ozone

  Protection Awards=Presented at the 20th

  Anniversary Celebration of the Montreal

  Protocol」 

  (2007.9)

 

3.地球温暖化問題とノーベル平和賞

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、2007年ノーベル平和賞を「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」とゴア米前副大統領に授与すると発表した。

 IPCCは、気候変動に関する科学と気候変動の影響に関する評価を行う国際機関で、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により1988年に設立された。今年発表されたその第4回目の評価報告書は、大きな話題を呼んでいるが、同報告書は、2002年4月にその作成が決定されて約5年の準備を経て、今年の1月から発表され始めた。3つの作業部会ごとにその評価報告書の審議、採択が行われ、最後に、3つの各作業部会報告書をまとめた統合報告書は、11月のIPCC総会で審議、採択される予定である。

 IPCCの組織の成り立ちの経緯、活動内容、3作業部会の各評価報告書の概要を以下に紹介する1)

3.1 IPCC設立の背景

 大洪水や干ばつ、暖冬といった世界的な異常気象を契機に、1979年、第1回世界気候会議において、研究をさらに促進し、それに対して力を注ぐことを支援する世界気候プログラム(World Climate Research Programme)が設定された。次いで、世界気象機関(World Meteorological Organization;WMO)と国連環境計画(United Nations Environment Programme;UNEP)は気候と気候変動に係わる研究を開始した。

 その後、気候変動に関する国際的課題が増大するにつれ、各国政府が効果的な政策を講じられるよう、気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高まった。 これらを背景として、新しい組織の設立構想が1987年のWMO総会並びにUNEP理事会で提案され、1988年にIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change;気候変動に関する政府間パネル)が設立された。

 IPCCは、発足当初は先進国主導であったが、その後各国政府に参加が呼びかけられ、現在ではほとんど世界中の国が参加するようになった。

3.2 IPCC設立の目的

 IPCC は、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のために、国際的な専門家でつくる気候変動に関する政府間機構を意味する。

 現在は、地球温暖化に関する最新の知見の評価を行っており、人為的な気候変動の危険性に関する最新の科学的・技術的・社会経済的な知見をとりまとめて評価し、各国政府に助言を行っている。

本組織の特徴は、以下のように説明されている。

委員には、世界有数の科学者が参加している。政府間パネルとの名であるが、参加者は政府関係者に限らない。

参加した科学者は、発表された研究を広く調査 し、評価(assessment)を行う。必ずしも新しい研究を行うのではない。

政策立案者に対して、科学的知見を基にした助 言を行うことを目的とし、政策の提案は行わない。

3.3 気候変動枠組条約とIPCCの関係

 IPCCは本来、世界気象機関(WMO)の一機関であり、国際連合の気候変動枠組条約(UNFCCC)注)とは直接関係のない組織であったが、1990年8月に公表した「第1次評価報告書」が気候変動に関する知見を集大成・評価したものとして高く評価されたことから、基本的な参考文献として広く利用されるようになった。1992年2月にはUNFCCCの交渉に寄与するために報告書の作成も行っている。

注)気候変動枠組条約(気候変動に関する国際連合枠組条約):United Nations Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC

 条約の交渉に同組織がまとめた報告書が活用されたこと、また、条約の実施にあたり科学的調査を行う専門機関の設立が遅れたことから、IPCCが当面の作業を代行することとなり現在に至っている。IPCC自体が、各国への政策提言等は行うことはないが、国際的な地球温暖化問題への対応策を科学的に裏付ける組織として、間接的に大きな影響力を持つ。UNFCCCは1992年に採択されたが、それまでに行われた条約作成の議論に、IPCCの報告書は重要な役割を果たした。

 1994年にUNFCCCが発効し、同条約第9条注)に基づき国連内にも「科学上及び技術上の助言に関する補助機関」(SBSTA)注)というUNFCCCの実施に直接関連する科学的調査を行う機関が設立されたことを機に、IPCCとSBSTAの作業分担が行われると予想されていた。しかし、SBSTAの立ち上がりが組織編成等で遅れ、実質的な活動が開始されなかったことから、UNFCCC事務局からIPCCに当面の作業を依頼することが提案され、補助機関会合で合意された。これを受けてIPCCは、補助機関の要請に答えて技術報告書と特別報告書を作成することとなった。

注)第9条(科学上及び技術上の助言に関する補助機関):“この条約により科学上及び技術上の助言に関する補助機関を設置する。当該補助機関は、締約国会議及び適当な場合には、他の補助機関に対し、この条約に関連する科学的及び技術的な事項に関する時宜を得た情報及び助言を提供する。当該補助機関は、すべての締約国による参加のために開放するものづくりと地球環境とし、学際的な正確を有する。当該補助機関は、関連する専門分野に関する知識を十分に有している政府の代表者により構成する。・・・

注)科学的上及び技術上の助言のための補助機関:Subsidiary Body for Scientific and Technological AdviceSBSTA

3.4 参加者と組織

 IPCCへの参加者は、公募により選ばれ、各国政府から推薦された科学者である。

  IPCCの組織は、最高決議機関である総会と、下記の3つの「作業部会注)」および「温室効果ガス目録に関するタスクフォース注)」から構成されている。

注)作業部会:working group、WG

注)タスクフォース(task force):対策委員会、特別調査団

第1作業部会(WG-I):自然科学的根拠。気候システム及び気候変動に関する科学的知見を評価する。

第2作業部会(WG-II):影響、適応、脆弱性。気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性と気候変動の影響及び適応策を評価する。

第3作業部会(WG-III):気候変動の緩和(策)。 温室効果ガスの排出抑制及び気候変動の緩和策をそれぞれ評価する。

温室効果ガス目録に関するタスクフォース:各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録に関する計画の運営委員会。

 IPCCの議長団(bureau)は、IPCC議長1名、IPCC副議長3名、各WG共同議長各2名、各WG副議長各6名、タスクフォース共同議長2名の計30名で構成されており、常設事務局は、ジュネーブのWMO本部内に、WMOとUNEPの共同で設置されている。

 現在の議長は、2002年より就任しているパチャウリ博士(Rajendra K. Pachauri)(エネルギー・資源研究所所長、インド)である。

3.5 知見の評価と報告書の発表

 IPCCが行う知見の評価とは、新しい調査や研究を行うのではなく、すでに発表されている論文を調査し、評価することである。IPCCは報告書執筆に関して、世界中から数百名の科学者とその他の研究者に協力を依頼し、その報告書は世界的なピア・レビュー注)を受ける。また、IPCCは、各国政府の承認を受けた“政策決定者のための研究成果の要約”を作成し、発表している。

注)ピア・レビュー(peer review):専門家どうしで調査や研究の内容を検討したり批評したりし合うこと。

注)政策決定者のための研究成果の要約:Summary for Policy-makersSPM

 IPCCは、これまでに3回、温暖化の予測・影響・対策等に関する評価報告書を公表した。3回目の報告書完成後、2002年4月に第4次評価報告書の作成が決定され、以後約5年間の準備を経て、本年公表されることになった。それらの経過は以下の通りである。

1990年:第1次評価報告書(FAR)注)

1995年:第2次評価報告書(SAR)注)

2001年:第3次評価報告書(TAR)注)

2007年:第4次評価報告書(AR4) 注

  注)FARThe First Assessment Report of IPCC

      SARThe Second Assessment Report of IPCC

      TARThe Third Assessment Report of IPCC

      AR4The 4th Assessment Report of IPCC

3.6 第4次評価報告書の発表

 第4次評価報告書は、以下のように作業が進行中で、本年1月から5月の間に3つの各作業部会が報告書を審議、採択したが、統合報告書は、11月のIPCC総会で審議、採択される予定である。

(1) 第1作業部会報告書

 第1作業部会報告書(自然科学的根拠)は、2007年1月29日〜2月1日に国連教育科学文化機関(UNESCO)(パリ、フランス)で開催された第1作業部会第10回会合で審議・採択された。同会合には、107ヵ国の代表、WMO、UNEP等の国際機関等から計306名が出席し、わが国からは、経済産業省、環境省、気象庁などから計9名が出席した。

(2) 第2作業部会報告書

 第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)は、2007年4月2日〜6日に欧州連合(EU)本部(ブリュッセル、ベルギー)で開催された第2作業部会第8回会合で審議・採択された。同会合には、110ヵ国の代表、WMO、UNEP等の国際機関等から計約310名、執筆者の代表約50名が出席し、わが国からは、経済産業省、環境省、気象庁などから計6名及び第2作業部会の統括執筆責任者が出席した。

(3) 第3作業部会報告書

 第3作業部会報告書(気候変動の緩和策)は、2007年4月30日〜5月4日に国際連合会議センター(バンコク、タイ)で開催された第3作業部会第9回会合で審議・採択された。同会合には、108ヵ国の代表、WMO、UNEP等の国際機関等から計約250名、執筆者約24名が出席し、わが国からは、経済産業省、環境省、気象庁などから計8名、統括執筆責任者1名が出席した。

 これに併せて、5月4日に開催されたIPCC第26回総会において、第1〜第3作業部会報告書が承認された。

(4) 統合報告書

  各作業部会報告書の分野横断的課題についてまとめた「統合報告書」は、来る2007年11月12日〜16日に開催予定のIPCC第27回総会(バレンシア、スペイン)審議・採択のされる予定である。

3.7 各作業部会報告書の政策決定者向け要約(SPM)
(1)第1作業部会報告書の政策決定者向け要約

  第1作業部会報告書のSPMの主なポイントは以下のように記されている。

@気候システムに温暖化が起こっていると断定するとともに、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定した(第3 次評価報告書の「可能性が高い」より踏み込んだ表現である)。(図表1)

 

<図表1>気候システムの温暖化5)

A20世紀後半の北半球の平均気温は、過去1300年間の内で最も高温で、最近12 年(1995〜2006年)のうち、1996年を除く11年の世界の地上気温は、1850年以降で最も温暖な12年の中に入る。

B過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74℃(1906〜2005年)上昇した。最近50年間の長期傾向は、過去100年のほぼ2倍である。

C1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090 年から2099年)の平均気温上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、約1.8℃(1.1℃〜2.9℃)である一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では約4.0℃(2.4℃〜6.4℃)と予測した(第3 次評価報告書ではシナリオを区別せず1.4〜5.8℃)

D1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090 年から2099年)の平均海面水位上昇は、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する社会においては、18cm〜38cmである一方、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を実現する社会では26cm〜59cmと予測した(第3次評価報告書の9〜88cmより不確実性減少)。

 

<図表2>炭素循環フィードバック5)

 

E2030年までは、社会シナリオによらず10年当たり0.2℃の昇温を予測した(新見解)。

F熱帯低気圧の強度は強まると予測した。

 G積雪面積や極域の海氷は縮小。北極海の晩夏に おける海氷が、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある(新見解)。

H大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸 性化が進むと予測した(新見解)。

I温暖化により、大気中の二酸化炭素の陸地と海 洋への取り込みが減少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある(新見解)。

 (2)第2作業部会報告書の政策決定者向け要約

  第2作業部会報告書のSPMの主なポイントは以下のように記されている。

@地球の自然環境(全大陸とほとんどの海洋)は、 今まさに温暖化の影響を受けている。(観測されたデータ数のうち、物理環境については765観測のうち94%、生物環境については28,671 観測のうち90%において、温暖化の影響が有意に現れている。)

A気候変動が自然環境及び人間環境に及ぼす、既 に生じている主要な影響としては、以下のものが挙げられる。

 ・氷河湖の増加と拡大

 ・永久凍土地域における地盤の不安定化

 ・山岳における岩なだれの増加

 ・春季現象(発芽、鳥の渡り、産卵行動など)の   

  早期化

 ・動植物の生息域の高緯度、高地方向への移動

 ・北極及び南極の生態系(海氷生物群系を含む)  

  及び食物連鎖上位捕食者における変化

 ・多くの地域の湖沼や河川における水温上昇

 ・熱波による死亡、媒介生物による感染症リス  

  ク

B淡水資源については、今世紀半ばまでに年間平 均河川流量と水の利用可能性は、高緯度及び幾つかの湿潤熱帯地域において10〜40%増加し、多くの中緯度および乾燥熱帯地域において10〜30%減少すると予測されている。

C生態系については、多くの生態系の復元力が、 気候変化とそれに伴う撹乱及びその他の全球的変動要因のかつて無い併発によって今世紀中に追いつかなくなる可能性が高い。

Dこれまで評価された植物及び動物種の約20〜  30%は、全球平均気温の上昇が1.5〜2.5℃を超えた場合、絶滅のリスクが増加する可能性が高い。

 

<図表3>絶滅リスクの増加7)

E今世紀の間に、今世紀半ばまでに陸上生態系に よる正味の炭素吸収はピークに達し、その後、弱まる、あるいは、排出に転じすらする可能性が高く、これは、気候変化を増幅する。

F約1〜3℃の海面温度の上昇により、サンゴの 温度への適応や気候馴化がなければ、サンゴの白化や広範囲な死滅が頻発すると予測されている。

G食物については、世界的には、潜在的食料生産 量は、地域の平均気温の1〜3℃までの上昇幅では増加すると予測されているが、それを超えて上昇すれば、減少に転じると予測される。

H2080年代までに、海面上昇により、毎年の洪水 被害人口が追加的に数百万人増えると予測されている。洪水による影響を受ける人口はアジア・アフリカのメガデルタが最も多いが、一方で、小島嶼は特に脆弱である。

I将来の気候変化に対応するためには、現在実施 されている適応は不十分であり、一層の強化が必要である。しかし、適応だけで気候変化の予測されるすべての影響に対処できるわけではなく、とりわけ長期にわたっては、ほとんどの影響の大きさが増大するため、対処できない。適応策と緩和策を組み合わせることにより、気候変化に伴うリスクをさらに低減することができる。

J気候変化の影響は地域的に異なるが、その影響 は、合算し、現在に割引いた場合、毎年の正味のコストは、全球平均気温が上昇するにつれて増加する可能性が非常に高い。

K全球平均気温の上昇が1990 年レベルから1〜3℃未満である場合、ある地域のあるセクターで 便益をもたらす影響と、別の地域の別のセクターでコストをもたらす影響が混在する可能性が高い。ただし、一部の低緯度地域及び極域では気温のわずかな上昇でさえコストが発生する可能性が非常に高い。

L気温の上昇が約2〜3℃以上である場合には、 すべての地域において正味の便益の減少か正味のコストの増加のいずれかが生じる可能性が非常に高い。

M第3次評価報告書以降、気候変化の影響及び適 応ポテンシャルに係る情報を政策決定者に提供する科学は進歩してきたが、今なお多くの重要な問題が未回答である。第2作業部会の各章は、将来の観測及び調査のための優先事項に関する多くの判断を含んでおり、この助言は真摯に考慮されるべきである。

(3)第3作業部会報告書の政策決定者向け要約

 第3作業部会報告書のSPMの主なポイントは以下のように記されている。

 環境省は、第3作業部会報告書の枠組みについて解説し、“前回報告書以降の新しい文献で、気候変化緩和の科学、技術、経済、社会面に関するもの、及びCO2回収・貯留に関する特別報告書、オゾン層及び地球の気候系の保護に関する特別報告書に焦点をあてている”として、図表4のように示している。

 

<図表4>第3作業部会報告書の枠組み8)

SPMの主なポイント]

@温室効果ガスの排出量は、産業革命以降 増えており、温室効果ガス全体として、1970年 から2004年の間に約70%増加した。現状のま まで行くと、世界の温室効果ガス排出量は、次の数十年も引き続き増加する(図表5)。

 

<図表5>温室効果ガス排出量の経年変化(1970〜2004)7)


 [短中期的な緩和(〜2030)各個別部門]

A2030年を見通した削減可能量は、予測される世 の排出量の伸び率を相殺し、さらに現在の排 出量以下にできる可能性がある。2030 年におけ る削減可能量は、積み上げ型の研究によると、 炭素価格が二酸化炭素換算で1トンあたり20  米ドルの場合は、年90〜170 億トン(二酸化 炭素換算)であり、炭素価格が同様に100 米ドルの場合は、年160〜310 億トン(二酸化炭素 換算)である。

B温室効果ガス削減の取り組みの結果として大気 汚染が緩和されることによる短期的な健康上の 利益は、緩和のコストを相当程度相殺するだろ う。

Cエネルギー供給:途上国へのエネルギー供給に ラの改修、エネルギー安全保障関連政策に よって、温室効果ガス排出削減の機会がある。将来のエネルギーインフラへの投資に対する意志決定は、温室効果ガスの排出量に長期的な影響を及ぼす。また、エネルギー需要を満たすために、エネルギー供給を増加させるよりも、エネルギー利用効率の向上に投資する方が、費用対効果が大きい。再生可能エネルギーによる電力は、炭素価格が二酸化炭素換算で1トンあたり50 米ドルの場合は、2030 年の合計電力量の30〜35%のシェアを占める可能性がある。

D運輸:自動車の燃費向上は、少なくとも小型自 動車では対策を講じたほうがコスト面で有利になり利益を生むこともある。しかし、消費者の自動車購入の判断基準は、燃料だけではないため、必ずしも大幅な排出量削減に結びつかない。

E建築:新規及び既存のビルにおける省エネ対策 は、コストの削減あるいは経済便益を生み、大幅に温室効果ガス排出量を削減できる可能性があり、コストをかけずに2030 年までに予測される温室効果ガス排出量の約30%を削減可能と試算される。

F産業:削減ポテンシャルはエネルギー集約型産 業に集中している。先進国、途上国ともに、利用可能な緩和オプションが充分利用されていない。

G農業:低コストで全体として大きな貢献が可能 である。土壌内炭素吸収量の増加や、バイオエネルギーとして温室効果ガスの排出削減に貢献できる可能性がある。緩和ポテンシャルの大きな部分を占めるのは土壌炭素吸収の管理による。

H林業:低コストで、排出量の削減及び吸収源の増加の両方に大きく貢献することが可能。炭素価格が、二酸化炭素換算で1トン当たり100 米ドルの場合、緩和ポテンシャルの約65%が熱帯にあり、また約50%が森林減少の削減と劣化の防止により達成可能。

I廃棄物:全体の温室効果ガス排出量に占める割 合は小さいものの低コストでの温室効果ガスの排出削減が可能であり、持続可能な開発も促進する。

[長期的な緩和(2031〜)]

J大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるため には、排出量は、どこかでピークを迎え、その後減少していかなければならない。安定化レベルが低いほど、このピークとその後の減少を早期に実現しなければならず、今後20〜30 年間の緩和努力によって、回避することのできる長期的な地球の平均気温の上昇と、それに対応する気候変動の影響の大きさがほぼ決定される。

K適切な投資、技術開発などへの適切なインセン ティブが提供されれば、それぞれの安定化レベルは現在実用化されている技術、または、今後10年間において実用化される技術の組み合わせにより達成可能である。

L2050年において、温室効果ガスを445〜    710ppmCO2-eqの間で安定化させた場合のマクロ経済影響は、世界平均でGDP1%の増加から5.5%の損失までの値を取る。影響は国やセクターにより異なる。

[政策、措置、手法]

M温室効果ガスの排出緩和を促すインセンティブ を策定するため、各国政府がとりうる国内政策及び手法は多種多様であるが、いずれの手法にも利点と欠点が存在する。

 →規制措置、税金・課徴金、排出権取引制度、自主協定、情報的措置、技術研究開発など。

N実際の或いは隠れた炭素価格を設定する政策は、 生産者及び消費者における、温室効果ガスの排出が低い製品に対する投資への顕著なインセンティブとなる。こうした政策は、経済的措置、政府の財政支援、規制的措置などを含む。

[持続可能な開発と気候変動の緩和]

O開発の道筋を、より持続可能な開発に向けるな らば、気候変動の緩和にも大きく貢献する可能性がある。

3.8 IPCCとTEAPとの共同作業

(1) TEAPにおけるタスクフォースのの設置

 京都議定書で温室効果ガスに指定されたHFCとPFCは、モントリオール議定書では、ODSの代替品となっていた。このため、地球温暖化防止とオゾン層保護の整合性を図る必要が生まれることとなった。

 1998年11月12-13日に開催された第4回気候変動枠組条約締約国会議(COP4)で、“HFC/PFCの排出削減に関する排出算定方法および排出規制の方法に関して、IPCC等の機関が1999年7月までに関連情報を用意すること、IPCCとUNEPのTEAPがワークショップを1999年内に開催し、SBSTAはこれらを纏め、C0P5(1999年)に報告すること”が決定された。

 また、1998年11月23-24日に開催された第10回モントリオール議定書締約国会合では、このCOP4の決議に基づき、“HFC、PFCの情報を、気候変動枠組条約事務局に1999年7月15日までに提供すること。IPCCと合同のワークショップを開催すること”等が決議された。

 これを受けたTEAPはタスクフォースを設置し検討を開始したが、日本からは藤本祐一氏と大西晴夫氏(ダイキン)がそのメンバーに選ばれた。

(2) IPCC/TEAPの最新報告書

 IPCCとTEAPは、共同で各種の報告書を発表してきたが、最新の報告書は、2003年初頭に起案され、IPCC/TEAPによるHFC/PFC特別報告書「オゾン層と地球気候システムの防衛:HFC及びPFCに係る問題」9)として2005年に完成した。同報告書は、2005年11月28日〜12月9日にモントリオールで開催された気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)と第1回京都議定書締約国会合(COP/MOP1)で報告され、次いで12月12〜18日にダカール(セネガル)で開催された第17回モントリオール議定書締約国会合でも報告された。

(3) IPCCのノーベル平和賞受賞

 今回のIPCCがノーベル平和賞を受賞したことに関連して、IPCCの第3作業部会(WGV、気候変動の緩和策)の共同議長であるデイヴィドソン氏(Ogunlade Davidson)とメッツ氏(Bert Metzの連名で、IPCC/WGVの評価報告書に係る執筆者、レビューエディター、関係スタッフ各位に1通の手紙がメールで送付された10)。

 その送付先は、本報告書に関係したIPCCのWGVグループの約400名弱の人々で、そこには約27名の日本人が含まれている。その中で、TEAP関係者として産業界のオゾン層保護対策の立場から参加したメンバーは、大西晴夫(元ダイキン工業)、海原誠(松下電工)、平田敏夫(デンソー)、藤本祐一(元日立製作所)、水野光一(産総研)、山辺正顕(産総研)の各氏である。

 デイヴィドソンとメッツは、IPCCの活動の成果には、数多くの関係者が困難な作業において献身的な努力を払ったことが基盤となったことを強調し、その手紙に以下のように記している。

 “本賞は、第4次評価報告書完成に努力した関係者のためばかりでなく、それまでのIPCC/WGVの各種報告書に貢献した人々のためのものでもあります。私たちのワーキンググループVは、第4次評価報告書への貢献に加えて、第3次評価報告書はもちろんですが、各種の特別報告書(航空、排出シナリオ、技術移転、オゾン層問題と気候変動、CO2の捕捉と貯留)を生み出しました。この作業は、気候システム、気候変動の影響とそれを避ける方法に関する権威ある機関としてIPCCが現在認知される基礎を提供しました。この功績は皆さんの誇りであるということができます。このような時に、注目はこの組織のリーダーシップに向きがちです。私たちはしかし、IPCCの成功の基となった執筆者達の献身と困難な作業を強調したいと思います。私たちはまた、第3次評価報告書および第4次評価報告書作成中のTSUスタッフに対して、質の高い成果を生み出すための非常に貴重な貢献に感謝する次第です。私たちは、共同議長として、この期間中に皆さんに奉仕できたことを誇りに思います。・・・”

<参考文献>

1) IPCCのホームページ:http://www.ipcc.ch /

2) IPCC:「16 Years of Scientific Assessment in   Support of the Climate Convention」(2004.12)

3)IPCC:「 各作業部会の第3次評価報告書」   (2001)

4) 環境省(報道発表):「IPCC第4次報告書につ いて」(2007.5)

5) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第1作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)

6) 環境省報道発表資料(文部科学省・経済産業省 ・気象庁・環境省):「IPCC第4次評価報告書第 2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)の公 表について(確定版)」(2007.4.10)

7) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第2作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)の21p

8) 環境省:「IPCC第4次評価報告書第3作業部会  報告書概要(公式版)」(2007.5.22)

9) IPCC/TEAP : 「IPCC/TEAP Special Report on Safeguarding the Ozone Layer and the Global Climate System: Issues Related to Hydrofluorocarbons and perfluorocarbons」(2005)

10) Ogunlade Davidson & Bert Metz:「Letter to Authors, Review Editors and Support Staff of the IPCC Working Group III Assessment Reports」(2007.10.15)

 

4.審議会の開催状況

 2007年8月および9月に開催された経済産業省および環境省の審議会の関連会合は以下の通りである。

4.1 産業構造審議会総会(第7回) 

日時:平成19年8月1日(水)

・場所:本館17階第1、第2、第3共用会議室

・議題:経済産業政策をめぐる現状と課題について等

・配布資料:

<資料1>議事次第

 <資料2>産業構造審議会委員名簿

  <資料3>平成19年(2007年)新潟県中越

沖地震被害への経済産業省の対策につ

いて

 <資料4>経済産業政策をめぐる現状と課題

  <資料5>産業構造審議会活動報告書

4.2 第3回 環境基本計画点検小委員会

日時:平成19年8月3日(金)

・場所:三田共用会議所

・議題:(1)重点調査事項に係る関係府省ヒアリング

    ・都市における良好な大気環境の確保に関

する取組

・環境保全上健全な水循環の確保に向けた

取組

    ・長期的な視野をもった科学技術、環境情

報、政策手法等の整備

(2)その他

・配布資料:

【資料】重点調査事項に係る点検結果

<資料1>都市における良好な大気環境の確保に

関する取組

     重点調査事項[1] 環境的に持続可能な

交通システム実現のための取組

     重点調査事項[2] ヒートアイランド対

策のための取組

 <資料2>環境保全上健全な水循環の確保に向け

た取組

     重点調査事項[1] 流域における水循環

改善のための取組

     重点調査事項[2] 閉鎖性水域における

環境改善のための取組

<資料3>長期的な視野をもった科学技術、環境

情報、政策手法等の整備

     重点調査事項[1] 環境に関する情報の

整備及び提供についての取組状況

     重点調査事項[2] 戦略的環境アセスメ

ントの取組状況

<参考資料1>第三次環境基本計画の点検の進め

方について

  <参考資料2>平成19年点検 重点調査事項

  <参考資料3>中央環境審議会総合政策部会・環

境基本計画点検小委員会名簿

4.3 中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会

環境部会地球環境小委員会合同会合(第21回)

日時:平成19年8月10日(金)

・場所:大手町サンケイプラザ

    議題:(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直

         しについて

     ・中間報告(案)審議

          (2)その他

・配布資料:

 <資料1>京都議定書目標達成計画の評価・見直

しに関する中間報告(案)

 <資料2>委員からの意見

<参考資料>委員からの質問への国土交通省の回

答。茅委員長・鈴木部会長 共同談話

4.4 第4回 環境基本計画点検小委員会

日時:平成19年8月24日(金)

・場所:三田共用会議所

・議題:(1)重点調査事項に係る関係府省ヒアリング

    ・市場において環境の価値が積極的に評価

される仕組みづくり

    ・国際的枠組みやルール形成等の国際的取

組の推進

       (2)その他

・配布資料:

<資料1>市場において環境の価値が積極的に評

価される仕組みづくり

     重点調査事項[1] 地方公共団体のグリ

ーン購入実施状況

     重点調査事項[2] SRI等の環境投資

の拡大

<資料2>国際的枠組みやルール形成等の国際的

取組の推進

     重点調査事項[1] 国際的な経済連携・地

域統合と環境の融合

     重点調査事項[2] NGO/NPOが東

アジア地域等の環境管理能力の向上に果

たしている役割

<参考資料1>第三次環境基本計画の点検の進め

方について

  <参考資料2>平成19年点検 重点調査事項

<参考資料3>中央環境審議会総合政策部会・環

境基本計画点検小委員会名簿

4.5 今後の化学物質環境対策の在り方についての係わる中環審中間答申について

 (中環審保健部会化学物質対策小委、産構審化学バイオ部会化学物質政策基本問題小委化学物質管理制度検討WG合同会合中間取りまとめ)

・レポート表題:今後の化学物質環境対策の在り方

について(中間答申)−化学物質排出把握管理促

進法の見直しについて−

・発表日:平成19年8月24日(金)

4.6 中央環境審議会地球環境部会 第1回懇談会

日時:平成19年9月21日(金)

・場所:環境省第1会議室

・議題:(1)地球環境問題の現状と最近の動きについ

       (2)低炭素社会の検討について

・松井孝典 東京大学大学院理学系研究科・新領域創生科学科教授

        ・坂村 健 東京大学教授、YRPユビキ

タス・ネットワーキング研究所所長

・配布資料:

<資料>低炭素社会の検討について

<参考資料1>平成20年度環境省重点施策

 <参考資料2>カーボン・オフセットのあり方に関する検

討会(第1回)の開催について

  <参考資料3>自主参加型国内排出量取引制度

(第1期)                   の排出削減実績と取引結果に

ついて

<参考資料4>第2回日中韓三カ国黄砂局長会合

の結果について

<参考資料5>我が国のオゾンの状況と国際的な

対応について

  <参考資料6>オゾン層保護・フロン対策の現状

と今後 坂村先生発表資料  松井先生発

表資料

4.6 中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会

環境部会地球環境小委員会合同会合(第22回)

日時:平成19年9月26日(水)

・場所:ホテルグランドパレス

・議題:(1)中間報告(案)に対する意見募集の結果

について

        (2)平成20年度の概算要求・税制改正要望に

ついて

    (3)今後の審議の進め方について

(4)その他

・配布資料:

<資料1−1>「京都議定書目標達成計画の評

価・見直しに関する中間報告(案)」

に対する意見募集の結果(概要)

<資料1−2>「京都議定書目標達成計画の評

価・見直しに関する中間報告(案)」

に対する意見募集の結果

<資料2−1>経済産業省における地球温暖化対

策に関する平成20年度概算要求等の概

要について

  <資料2−2>環境省における地球温暖化対策に

関する平成20年度概算要求等の概要に

ついて

  <資料2−3>農林水産省における地球温暖化対

策に関する平成20年度概算要求等の概要について

<資料2−4>国土交通省における地球温暖化対

策に関する平成20年度概算要求等の概要について

<資料3>産構審・中環審合同会合の今後のスケ

ジュールについて(案)

  <資料4>京都議定書目標達成計画の見直しに向

けた追加対策等の検討作業について

(案)

  <資料5>日本経団連事務局におけるサマータイ

ム勤務(エコワーク)の実施について

  <参考資料>京都議定書目標達成計画の評価・見

直しに関する中間報告

4.7 平成19年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科

会化学物質安全対策部会化学物質調査会化学物

質審議会第67回審査部会 第71回中央環境審議

会環境保健部会化学物質審査小委員会

日時:平成19年9月28日(金)

・場所:三田共用会議所

・議題:(1)前回指摘事項等の確認等について

       (2)新規化学物質の審議について

       (3)少量新規化学物質の確認結果の報告につ

いて

       (4)その他

・議事

 (会議は非公開で行われた)


2007年4号

★これまでの掲載分へ

1.採択20周年を迎えるモントリオール議定書の話題

 日本産業洗浄協議会は、1997年より、2005年まで毎年、モントリオール議定書に基づく国際的なオゾン層保護対策活動の状況を、「JICC洗浄技術フォーラム」で、経済産業省オゾン層保護等推進室長の講演で取り上げてきた。今年は、去る6月22日の“第28回JICC洗浄技術セミナー”で、「“モントリオール議定書”と“京都議定書”の最近の動き」と題して、山村直弘氏(当時、経済産業省製造産業局オゾン層保護等推進室課長補佐、現在は、同省商務情報政策局消費経済政策課課長補佐)が講演を行った。

 同氏の講演は、モントリオール議定書と京都議定書の最新情報と相互関係を分かりやすく解説して非常に好評であった。

 この講演の内容は以下の項目に亘っており、その概要を同氏のご了解を得て紹介する1)。(今回は、1〜3のみ)

(本号)

1.モントリオール議定書とこれまでの評価

2.モントリオール議定書の最近の動き

3.多数国間基金を通じた途上国支援とビジネスチャンス

(次号)

4.モントリオール議定書と京都議定書のアプローチ

5.京都議定書の3ガス分野での取り組み

6.京都議定書の最近の動き

7.ハイリンゲンダム・サミットにおける地球温暖化問題を巡る合意について

8.まとめ

1.1 モントリオール議定書とこれまでの評価

(1) オゾン層破壊物質の削減の努力

 世界のフッ素系化合物の生産量は、モントリオール議定書の規制スケジュールの進行により、図表1のように推移している(AFEAS注)の発表)。規制開始の当初、生産量全体の量の6割以上がCFCであったが、1990年よりCFCが規制されてゆく中で、代替品のHCFCが増加したが、HCFCが1996年より規制されるようになると、その代替品のHFCが増加する傾向が示されている。

(注)AFEAS:Alternative Fluorocarbons Environmental Acceptability Study、代替フルオロカーボンの環境影響調査

 

<図表1> 世界のフロン生産量の推移


 ただし、HFCはオゾン層破壊物質ではないが、温室効果ガスであり、京都議定書で規制の対象と モントリオール議定書によるオゾン層破壊物質(ODS)の削減の効果は、図表2のごとくで、先進国においては、99%以上の削減が達成されており、途上国における72.7%の削減を合わせると、世界全体で、モントリオール議定書実施の成果は95.1%の削減となる。

(2) オゾンホールの現状

1979年頃には、オゾンホールがまだ認められなかったが、1987年頃より目立つようになり、2005年はまだあまり変わっていない状況で、過去放出されたオゾン層破壊物質の影響がまだ残っている。

 

<図表2> ODSの消費量

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(3)オゾンホールの評価

 オゾンホールの評価は、モントリオール議定書で規定された科学アセスメントパネル(SAP、Science Assessment Panel)が4年毎に発表する報告書で紹介されている。

 2002年の報告書では、“オゾンホールは2050
年頃に1980年以前の状態に回復するが、ここ10年間のオゾン層は脆弱な(破壊されやすい)状態である”との評価がなされた。モントリオール議定書は、当初は予防的な考えが強かったが、現在では、オゾン層破壊物質の存在の影響が証明され、モントリオール議定書の実施の成果が明確になったとされている。

 2006年の報告では、“オゾンホールの回復は、5年から15年遅れる見込みである。遅れの理由は、@途上国におけるHCFC使用量の増加、A冷凍・空調機器などの廃棄時のCFC、HCFC排出増加である。”

 モントリオール議定書の規制は、生産量であるので、今後はODS含有機器の廃棄におけるODSの処置についての問題が重要になる。

1.2 モントリオール議定書の最近の動き

 このような状況を踏まえて、今年は、モントリオール議定書の見直しについての議論が行われている。 モントリオール議定書を見直す主論点は;

@HCFC削減・全廃の前倒しに如何に対応するか。

 (論点1)先進国向けの前倒し提案の、国内影響等の評価。

 (論点2)途上国の前倒し受入とそれに付随する途上国支援基金の拡大(先進国の拠出増)の評価。

 (論点3)例外規定の拡大について

A新規物質の規制物質への追加(EU提案)

(1) HCFC前倒しの背景

  先進国は、CFCの消費・生産全廃を1995年末までに達成したが、途上国は、モントリオール議定書で削減スケジュールの実施に猶予期間が設けられているため、1999年から規制を開始し、2009年までに全廃することになっている(図表3)。また、1,1,1-トリクロロエタンと臭化メチルは、途中の削減経過は両者で異なるが、2014年末までに全廃することになっている。HCFCについては、2015年が基準年であり、それまでは消費量がいくら伸びても規制されないと云う問題があり、中国での消費量の急増が話題になっている。2016年以降は段階的な削減をせずに2040年まで使用し続けることができるという緩い規制である。

 

<図表3> 途上国の削減スケジュール

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 なお先進国のHCFC削減スケジュールをみると(図表4)、規制はすでに1996年から始まっており、2019年末で全廃することになっている。

        

<図表4>    HCFCの先進国における削減スケジュール

 

 

 

 

 

 

 

 

 


日本では、産業構造審議会で日本独自の全廃スケジュールを決めており、HCFCの品種および用途に応じて早めの全廃を目指している。ただし、日本の実態は更に早めの削減を実現しており(図表5)、2006年の実績をみると、基準年(1989年)の65%まで削減する目標に対して、実際は13.6%まで削減をすすめている。

 

<図表5> 日本国内のHCFC消費量の実績

 他方、世界のHCFC消費量の推移を先進国(Non-A5)と途上国(A5)注)の別に見ると(図表6)、当初は先進国の消費量が殆どを占めていたが、2003年頃には逆転し、2005年には全体の7割は途上国で占められている。

注)途上国は、モントリオール議定書の“第5条 開発途上国の特別な事情”により規定されているので、“第5条国(Article 5 country、A5)”と呼ばれる。先進国は、それに対して、非5e条国(Non-A5)と呼ぶ。

  国別の消費量を比較すると、途上国では6割近くを中国が占め、先進国では約6割(中国の量の約50%)を米国が占めていることが分かる。

 

<図表6>    HCFC消費量の推移(先進国、途上国別)(ODPトン)

 

 HCFCの生産量は図表7の如くで、特に注目すべきは、中国の伸びで、現在、約8割を占めて、未だに増加中であり、先進国では今後減少の方向であるから、HCFCの問題は中国の問題ということになる。

<図表7> HCFC生産量の推移

 EUでは、独自の削減スケジュールを作っており、2010年以降は全廃にするという計画である。ただし、再生した冷媒のみ、2014年末まで使用することが認められている。そのため、モントリオール議定書の改正で全廃を前倒しにすることには、EUは積極的な姿勢を示している。 

(2) HCFC前倒しの各国提案

  9月17日から行われる第19回モントリオール議定書締約国会合では、HCFC規制の前倒しについて、各国から提案が行われる予定である

(3) n-PBの規制対象物質への追加の可能性

  新しく規制物質として議論の対象になっているのは、n-プロピルブロマイド(n-PB)である。

 n-PB の主な消費国は、米国、日本、中国及びEUであるが、EUは2005年をピークに段階的に削減をしている。n-PBのODPは、まだ確定された数値ではないが、熱帯地方で0.1、北部中緯度地方で0.02〜0.03といわれている。

 EUは、n-PB の需要の拡大(TEAPによると2007年の溶剤としての生産・消費量は年間2万t、排出量は1万tと推計)を理由にn-PB をモントリオール議定書の規制対象としたい意向で、過去にも規制する提案を行っている。

EUは、今回の作業部会でn-PBに関する以下のような提案を行い、次回の締約国会合で議論することとなった。この意図は、規制の必要性は、ODPと消費量の掛け算を考慮して検討する必要があり、規制物質に指定すれば、数量的な規制スケジュールを定めなくとも、消費量の増加にブレーキがかかり、実効的であるとの考えから生まれている。

@次回議定書改定にあわせn-PB を規制対象物質に追加     

A n-PB の使用や生産の制限 

B n-PBが将来規制対象になる可能性があることを国内に周知

 日本の見解としては、ODPの数値の大きさだけで議論するのではなく、消費量との掛け算が問題であるから、現在と将来の需要量をTEAPで十分調査して判断すべきであるとの主張を行っている。

1.3 多数国間基金を通じた途上国支援とビジネスチャンス

(1) 多数国間基金 

  モントリオール議定書には、途上国支援のため先進国が出資する基金(多数国間基金)が規定されている。この基金は、途上国が、議定書に基づくODSの削減・全廃のために、規制スケジュールを順守できるよう財政的に支援するものである。

 基金運営の事務局は、1991年にモントリオールに設立され、基金は、国連分担金を基礎として、先進国の拠出によって賄われる。基金は、先進国、途上国の各7カ国からなる執行委員会(EXCOM、Executive Committee)によって運営される。日本と米国は最大の出資国であり、それぞれ約22%を占める額を出資しているので常任国となり、委員会は年三回開催されて、事業の決定やフォローアップが行われる。

 資金規模は、3ヵ年をT期として、締約国会合で決定される。2006年から2008年までの3ヵ年については、総額4億$が決定され、そのうち日本は22%の8千8百万$(年間で約3千万$)を拠出している。1991年から2005年までの基金への拠出額は、図表8の通りである。

 拠出金の20%までは、二国間支援枠として使用可能であるから、日本は年間約6百万$の枠を確保していることになる。日本の多数国間基金への拠出実績とその中の二国間支援の割合は、図表9のごとくで、当初はまったく実績がなかったが、2003年からの3年間には、7.5百万US$と、消化率が36%になった。

 

<図表8> 先進国の基金への拠出額(1991〜2005)

<図表9> 日本の多数国間基金に対する拠出額と二国間支援の実績

(2) 日本の二国間支援の実例

  日本政府が行った二国間支援事業について、1999年以降の主なものを以下に紹介する。

@ 中国での家庭用コンプレッサー転換事業

1999年7月承認)

 ・支援規模:2.5百万US$

 ・実施機関:UNIDO

 ・事業概要:家庭用冷蔵庫の冷媒をCFCからHFCへ転換するためのコンプレッサー製造・洗浄ラインの技術支援

A 南アジア地域におけるワークショップ

1999年11月承認) 

 ・支援規模:0.1百万US$

 ・実施機関:UNEP

 ・事業概要:ODSの輸出入手続制度の構築・強化などのためのワークショップの開催

B 中国冷媒サービス分野の削減戦略策定事業

 (2000年7月承認)

 ・支援規模:0.4百万US$

 ・実施機関:UNEP

 ・事業概要:冷媒サービス分野における削減戦略の策定

C ナイジェリア寝具・家具用の発泡剤の転換事業

 (2000年12月承認) 

 ・支援規模:0.44百万US$

 ・実施機関:UNDP

 ・事業概要:寝具・家具の発泡用CFCの塩化メチレンへ転換するための技術支援

D インドネシア冷蔵庫用断熱材の転換事業

 (2002年7月承認) 

 ・支援規模:0.32百万US$

 ・実施機関:UNIDO

 ・事業概要:冷蔵庫の断熱材用のCFCをHFCへ転換するための技術支援

E チラー転換デモンストレーション事業

(アフリカ) (2006年4月承認)

 ・支援規模:合計 2.0百万US$(日本0.7, UNIDO 0.745, 仏 0.36, 独 0.1925)   

 ・実施機関: UNIDO, 日本, GTZ (独), 仏

F 金属洗浄用CTC転換事業(インド)

  (2004年7月承認)

 ・支援規模:合計5.0百万US$(日本 5.0)

 ・実施機関: UNDP, 日本

G 冷媒回収事業(中国)(2004年12月承認)

 ・支援規模:合計 7.85百万US$(日本 4.0, UNID 3.85)

  ・実施機関: UNIDO, 日本          

H UNIDOのマルチ事業への参加:ナイジェリアでの 洗浄剤転換事業

 ・支援規模:UNIDO 0.3百万US$

  ・実施機関:UNIDO          

 ・経  緯:2006年7月:ナイジェリア(ラゴス)でのワークショップに日本から日本産業洗浄協議会が専門家を派遣。2006年11月:「2006洗浄総合展」にナイジェリア及びイランから関係者が洗浄技術の調査に来日。2007年5月:洗浄装置の国際入札に日本企業が応募して落札。

(3) 途上国支援案件の発掘と承認

  途上国支援の案件が生まれてから正式採用の承認が下りるまでの流れをみると、まず途上国側で、オゾン層保護対策の具体的な計画が生まれると、その計画が途上国自身からか、UNEPやUNDPなどの実施機関を経由して、締約国会合の会議の場で紹介され、各国政府や業界団体に情報が入る。経済産業省はこれらの情報を基にして、実施機関とも打ち合わせを行い、計画実施案を作成し、基金執行委員会(ExCom)に申請する。委員会が承認した計画は、実施機関がその実行を担当し、国際入札で担当企業を決定する。日本から応募する場合は、環境対応や品質の面でオーバースペックになりがちで、現地のニーズを十分理解することが必要である。

 これまでの支援額をODSの用途分野別に、期別(現在までに5期を終了)で集計すると図表10のごとくである。支援が先行した分野は、冷凍空調分野、発泡分野であるが、現在は洗浄分野も継続中で、土壌燻蒸分野と冷媒回収関係に中心が移行しつつある。

 

<図表10> これまでの分野別の支援額の推移

 

 今後の途上国支援のビジネスチャンスとしては、以下のものが考えられる。

@CFC(冷媒):回収機器の導入、回収に関する訓   練・ワークショップなど、製造ラインの転換

A臭化メチル:代替品の生産プラント、投薬機械・農業機械の転換、代替品の使用に関する実技指導

B1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素:代替品用の洗浄装置の導入、代替品使用に関する実技指導

CCFC(MDI):HFC使用のMDI製造ラインの転換、DPI使用の製造ラインの導入

DHCFC:HCFC-22を冷媒とした機器の転換HCFC-141bの発泡分野の転換、HCFC-141bの洗浄分野の転換 

E破壊:破壊施設の導入(CFCの回収が進んだ場合)

<参考文献> 

1) 日本産業洗浄協議会編:「第28回JICC洗浄  技術セミナー予稿集」(2007.6.22)

 

2.オゾン層保護対策推進月間

 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」は、1987年9月16日にモントリオールで採択された。今年は、採択20周年に当たり、モントリオールでは、各種の記念行事が開催される。

 日本でも、以下のような行事が予定されている。

@「オゾン層保護対策推進月間」

国連環境計画では、1995年からモントリオール議定書が採択された9月16日を「国際オゾン層保護デー」(International Day for the Preservation of the Ozone Layer)と定めており、

今年は、モントリオール議定書採択の20周年の節目となる。

我が国では、9月をオゾン層保護対策推進月間と定め、毎年、オゾン層保護やフロン等対策に関する様々な普及啓発活動が行われている。

<写真> 経済産業省発行の「オゾン層保護パンフレット

 

 

 

 

 

この行事は、15の関係省庁と、有限責任中間法人オゾン層・気候保護産業協議会が中心となって企画され、月刊行事をPRするポスターとパンフレットが準備されている(写真)。

ポスターには、今年の主要な課題を含め、以下の説明文が付されている。

“モントリオール議定書の採択から20年。オゾン層破壊物質の生産量は、全世界で95%以上も削減されました。成層圏のオゾン層破壊物質の濃度も、減少傾向です。しかし、使用中のエアコンや冷凍・冷蔵庫に含まれるフロンが大気中へ放出されると、オゾン層破壊や地球温暖化の原因となります。10月から、改正されたフロン回収・破壊法が施行されます。これからもフロン回収に御協力下さい。”

A「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞10周年記念シンポジウム

日時:2007年9月6日(木)15:45〜18:15

・会場:東海大学校友会館(霞ヶ関ビル33階)

・主催:日刊工業新聞

・後援:経済産業省/環境省

・協力:有限責任中間法人オゾン層・気候保護産業協議会

・講演:(1)「フロンとオゾン層破壊・温暖化」

      富永健(東京大学名誉教授)

    (2)「オゾン層保護対策の20年」

      西出徹雄((社)日本化学工業協会専務 

      理事)

・顕彰式

・懇親パーティー

B「モントリオール議定書20周年とフロン回収・破壊法改正記念シンポジウム」

日時:2007年10月5日(金)13:00〜16:45

・会場:東京国際交流館

・運営事務局:ダイナックス都市環境研究所

・基調講演:「成層圏オゾン層破壊とモントリオール議定書(仮題)」F.S.ローランド博士(ノーベル化学賞受章者、カリフォルニア大学教授)

・特別講演:「地球環境の新しい概念」毛利衛(日本科学未来館館長、宇宙飛行士)

・パネルディスカッション:フロンとオゾン層破壊・温暖化」

 富永健(東京大学名誉教授)

 奥原祥司((社)日本青年会議所会頭)

 小野雅司(国立環境研究所環境健康研究領域総合影響評価研究室長)

 西薗大実(NPO法人ストップフロン全国連絡会代表)

 山本公一(衆議院議員)

 南川秀樹(環境省)

<参考文献> 

1) 経済産業省:「(パンフレット)守ろうオゾン層防ごう地球温暖化」A4/18p (2007.8)

 

3.審議会の開催状況

 2007年6月および7月に開催された経済産業省および環境省の審議会の関連会合は以下の通りである。

3.1 第56回中央環境審議会地球環境部会

日時:平成19年6月11日(月)

・場所:ホテル ルポール麹町 

・議題:

(1)「気候安全保障に関する報告」について(中央環境審議会地球環境部会 気候変動に関する国際戦略専門委員会)

  (2)報告事項

   (3)その他

・配布資料:

 <資料1>気候安全保障に関する報告(中央環境審議会地球環境部会 気候変動に関する国際戦略専門委員会)

<資料2>日中首脳会談の結果報告概要

<資料3>気候変動枠組条約26回補助機関会合 等の結果概要

<資料4>ハイリゲンダム・サミット結果報告概要

 <参考資料1>地球温暖化防止にかかる国民活動の評価について

 <参考資料2>実行ある民生対策へ

                                          <参考資料3>京都議定書目標達成計画 エネル

   ギーを中心とする追加対策の提案

3.2 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第16回)

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年6月13日(水)

・場所:KKRホテル東京

・議題:

(1)運輸部門の対策について(国土交通省等)

(2)報告事項その他

   @美しい星へのいざない「Invitation『CooEarth 50』」

       〜3つの提案、3つの原則〜

    A地球温暖化対策推進本部(平成19年5月29日)の結果について

    Bハイリゲンダムサミットの結果について

・配布資料:

<資料1>交通政策審議会交通体系分科会12回環境部会資料(平成19年5月8日)

 <資料2>社会資本整備審議会環境部会中間とりまとめ(素案)〜京都議定書目標達成計画の評価・見直しについて〜(抜粋)

<参考資料1> 排出量及び取組の状況等に関する論点整理

<参考資料2> 美しい星へのいざない

Invitation to 『Cool Earth50』」

3つの提案、3つの原則〜

<参考資料3> 地球温暖化対策推進資料(平成19年5月29日)

<参考資料4> ハイリゲンダムサミットの結果概要

3.3 中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第6回)、産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第5回)合同会合(第5回)

・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課

    環境省環境保険部環境安全課

日時:平成19年6月15日(金)

・場所:三田共用会議所

・議題:

(1)リスクコミュニケーション及び人材育成に

関する課題と今後の方向性について

(2)MSDS制度の課題と今後の方向性につい

・情報伝達の在り方について

・国際調和の推進

(3)中間とりまとめ骨子(案)について

(4)その他

・配布資料:

<資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿

 <資料2>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管             理制度検討ワーキンググループ委員名簿

 <資料3>第4回合同会合議事録(案)(委員限り)

 <資料4>これまでの合同会合における意見の整理

 <資料5>委員から提出された追加意見

  <資料6>リスクコミュニケーション及び人材育成について

  <資料7>MSDS制度を巡る状況について

  <資料8>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会、産業構造審議会       化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第5回)合同会合 中間取りまとめ骨子(案)

3.4 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第17回)

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年6月13日(水)

・場所:泉ガーデンギャラリー ホールA

・議題:

(1)京都議定書目標達成計画の評価・見通しにつ

いて

     @家庭・業務部門の対策(住宅・建築物含む)

     A中小企業等の対策

     Bエネルギー転換部門の対策

(2)その他

・配布資料:

<資料1>省エネルギー対策(経済産業省)

 <資料2>住宅・建築分野における地球温暖化対策について(国土交通省)

 <参考3>中小企業等における排出削減対策の強化(経済産業省)

<参考4> 新エネルギー対策(経済産業省)

<参考資料1> 排出量及び取組の状況等に関する論点整理

<参考資料2> 及川委員からの意見

<参考資料3> 山口委員からの意見

<参考資料4> 浅岡委員からの意見

3.5 産業構造審議会化学・バイオ部会(第17回)地球温暖化防止対策小委員会

・窓口:経済産業省 製造産業局

日時:平成19年6月22日(金)

・場所:三田共用会議所

・議題:

(1)産業界の自主行動計画第9回(2006年)フォ

ローアップについて

(2)その他

・配布資料:

<資料1>分野ごとの行動計画に基づく取組の進捗状況(個表)<9回フォローアップ:2006年分>

 <資料2>1995年〜2006年における代替フロン等3ガスの推計排出量

 <資料3>2006年総括フォローアップ(案)

 <資料4>代替フロン等3ガス分野の主な対策について

 <資料5>代替フロン等3ガス排出抑制状況の国際比較について

<参考資料1−1>産構審・中環審合同会合の検討スケジュール

<参考資料1−2>産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会 合同会合の審議日程

<参考資料3> 温暖化効果ガス削減対策事業の助成先決定について

<参考資料4> 脱フロン対策分野の技術戦略マップ

3.6 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第18回)

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年6月27日(水)

・場所:三田共用会議所

・議題:

(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しにつ

いて

@関係業界からのヒアリング(電力、鉄鋼、経団連、学校、病院)

A自主行動計画の進捗状況等について(各省庁からのヒアリング)

(2)その他

・配布資料:

<資料1>電気事業における地球温暖化対策の取り組み(電機事業連合会)

 <資料2>電気事業分科会における電気事業制度改革について(経済産業省)

 <資料3>鉄鋼業の地球温暖化対策への取り組み(日本鉄鋼連盟)

 <資料4>2007年度環境自主行動計画の重点課題とフォローアップ日程(日本経済団体連合会)

 <資料5>私立学校における自主行動計画の策定について(全私学連合)

  <資料6>日本医師会資料(日本医師会)

  <資料7>自主行動計画の深掘り・対象範囲の拡大等 各省庁所管業種の進捗状況

       様式1 総括表

       様式2 各業界等の個票

  <参考資料1>排出量及び取組の状況等に関する論点整理

  <参考資料2>産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会 合同会合当面の日程

3.7 中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会(第7回)、産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ(第6回)合同会合(第6回最終回)

・窓口:経済産業省製造産業局化学物質管理課

    環境省環境保険部環境安全課

日時:平成19年6月29日(金)

・場所:経済産業省別館

・議題:

(1)中間とりまとめ骨子(案)について

  (2)その他

・配布資料:

<資料1>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会委員名簿

<資料2>産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管             理制度検討ワーキンググループ委員名簿

 <資料3>第5回合同会合議事録(案)(委員限り)

 <資料4>これまでの合同会合における意見の整理

 <資料5>委員から提出された追加意見

  <資料6>中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会、産業構造審議会       化学・バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会化学物質管理制度検討ワーキンググループ合同会合 中間取りまとめ(案)

3.8 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第19回)

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年7月6日(金)

・場所:砂防会館 別館

・議題:

(1)エネルギー起源CO2以外の対策

○代替フロン等3ガス対策

    ○非エネルギー起源CO2・メタン対策(廃棄物対策)

(2)その他の対策

    ○バイオマス対策

    ○京都メカニズムの活用による電気事業者の二酸化炭素排出原単位の低減等

(3)その他の論点

    ○国内排出量取引制度

    ○環境税

・配布資料:

<資料1>代替フロン等3ガス分野の主な対策について(経済産業省)

 <資料2>代替フロン等3ガス分野の対策について(環境省)

 <資料3>廃棄物処理・3Rの推進による温室効果ガスの削減(環境省)

 <資料4>国産バイオ燃料の推進について(農林水産省)

<資料5>京都メカニズムの活用による電気事業者の二酸化炭素排出原単位の低減等

     (経済産業省・環境省)

  <資料6ー1>国内排出量取引制度について(経済産業省・環境省)

  <資料6ー2>EU域内排出量取引制度に関する調査報告(環境省・経済産業省・日本経済団体連合会)

  <資料7ー1>国内排出量取引の早期導入に向けて建設的論議を急ぐべき(浅野委員)

  <資料7ー2>国内排出量取引の導入の必要性について(大塚委員)

  <資料7ー3>CAP&TRADEの日本鉄鋼業への影響(関澤委員)

  <資料7ー4>産業武門の国内排出権取引−効率性、環境効果、衡平性、実現可能性−

            (山口(光)委員)

  <資料8>環境税について

  <参考資料1>排出量及び取組の状況等に関する論点整理

  <参考資料2>浅野委員からの意見

3.9 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第20回)

・窓口:経済産業省産業技術環境局環境経済室

日時:平成19年7月25日(水)

・場所:虎ノ門パストラル

・議題:

(1)京都議定書目標達成計画の評価・見直しにつ

いて

・中間報告(素案)審議

    ○非エネルギー起源CO2・メタン対策(廃棄物対策)

(2)その他

・配布資料:

<資料>京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告(素案)

 <参考資料1>     排出量及び取組の状況等に関する論点整理

  <参考資料2>     飯田委員からの意見

  <参考資料3>     大塚委員からの意見

  <参考資料4>     南學委員からの意見

  <参考資料5>     渡委員からの意見


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